アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
ドーシャ・体質

ピッタ

Pitta / पित्त

Definition

火と水の元素から成り、消化・代謝・体温・視覚など「変換」の働きをつかさどるとされるドーシャ。働く場所によって5つに分けられる。

この項目のポイント

  • ピッタは火と水の性質を持ち、消化・代謝・体温・視覚など「変換」をつかさどるとされる
  • 熱い・鋭い・軽い・わずかに油性といった性質を持ち、乱れるとほてりやイライラ、肌の赤みにつながると考えられる
  • 働く場所によって、パーチャカ・ランジャカ・サーダカ・アーローチャカ・ブラージャカの5つに分けられる
  • 食べ物だけでなく、光や経験、肌に触れたものまで消化するものとして扱うのがこの分類の特徴

ほてりやイライラが気になる方へ

顔や手のひらが、なんとなく熱っぽい。

ちょっとしたことでカッとなりやすい。

胃がむかむかしたり、肌が赤くなったりしやすい。

こうした状態が続くと、自分の性格のせいだと思ってしまうかもしれません。

その感覚には、ちゃんと名前があります。

アーユルヴェーダでは、こうした熱っぽさや鋭さを、ピッタという変換の力が強まりすぎた現れとして捉えてきました。

責めるのではなく、熱がこもっているだけと見るのが、この考え方の出発点です。

ピッタとは

ピッタ(Pitta)は、ドーシャの1つで、火(アグニ)と水(ジャラ)の元素から構成されるとされるエネルギーです。

消化・代謝・体温調節・視覚など、体内で何かを変換する働きをつかさどると考えられています。

深く関わる概念に、消化の火であるアグニがあります。

ヴァータが動きを、カパが構造を担うのに対し、ピッタは取り込んだものを体に使える形へ変える役割とされます。

ピッタの性質

熱い・鋭い・軽い・わずかに油性、といった性質を持つとされます。

ピッタが優位な体質の人は、中肉中背で意志が強く、リーダーシップがある傾向があると言われます。

夏の暑い季節、辛いものや刺激物の摂りすぎ、強いストレスや競争的な状況では、ピッタが増えやすいとされます。

バランスが乱れると

ピッタが過剰になると、ほてり・胃の不快感・肌の赤みやかゆみ・怒りっぽさなどとして現れやすいと考えられています。

冷やす性質の食べ物や、涼しく落ち着いた環境が、整える方向とされます。

ピッタの5つの働き

ピッタは、体のどこで変換を行うかによって5つに分けられます。

これをピッタのサブドーシャ(下位分類)と呼びます。

名前主な場所変換するもの語られる文脈
パーチャカ・ピッタ胃と小腸食べ物(消化そのもの)胸やけ、消化不良
ランジャカ・ピッタ肝臓と脾臓栄養から血液へ肌の色つや、熱っぽさ
サーダカ・ピッタ心臓と頭部経験や情報(心の消化)いらだち、完璧主義
アーローチャカ・ピッタ目光から形と色へ充血、まぶしさ、疲れ目
ブラージャカ・ピッタ皮膚肌に触れたもの、体温肌のほてり、炎症

消化という言葉が、食べ物以外にも広く使われるのがアーユルヴェーダの特徴です。

目は光を、心は経験を、肌は触れたものを、それぞれ消化していると考えます。

5つのピッタは、その変換の場所ごとの名前です。

パーチャカ・ピッタ(食べ物を消化する働き)

胃と小腸で、消化そのものをつかさどるとされるのがパーチャカ・ピッタです。

アグニ(消化の火)と最も近い位置にある分類とされ、5つのピッタの土台と位置づけられます。

強すぎれば胸やけや空腹への過敏さとして、弱すぎれば消化不良やアーマ(未消化物)の蓄積として現れやすいとされます。

同じ場所で火をあおるサマーナ・ヴァーユ、胃を潤して守るクレーダカ・カパと組になって、消化を支えると説明されます。

ランジャカ・ピッタ(血液に色を与える働き)

肝臓や脾臓に座を持ち、栄養から血液にあたる組織をつくり、色を与えるとされるのがランジャカ・ピッタです。

血液にあたるダートゥ(体の組織)の質に関わるとされます。

肌の色つやや熱っぽさの文脈で語られることが多い働きです。

血のめぐりを整えるとされるマンジシュタなどが、この文脈で伝統的に用いられてきました。

サーダカ・ピッタ(心の消化を担う働き)

心臓と頭部に座を持ち、思考、判断、意志、目標に向かう力をつかさどるとされるのがサーダカ・ピッタです。

アーユルヴェーダでは、経験や情報も消化されるものとして扱われます。

その心の側の消化を担うのが、この働きとされます。

乱れると、いらだち、完璧主義、思考の空回りとして現れやすいとされます。

瞑想が調整に用いられてきたのは、この働きに関わるためです。

心の働きを扱うマナスや、心の質を3つに分けるトリグナとあわせて読むと、位置づけがつかみやすくなります。

アーローチャカ・ピッタ(見る働き)

目に座を持ち、光を受け取って形や色を認識する働きをつかさどるとされるのがアーローチャカ・ピッタです。

感覚器官を指すインドリヤのうち、視覚を支える火の働きと位置づけられます。

目の充血、まぶしさ、疲れ目などの文脈で語られます。

目を冷まし潤すネートラタルパナやアンジャナといったケアは、この働きを対象にしたものです。

ブラージャカ・ピッタ(肌の色つやと体温の働き)

皮膚に座を持ち、肌の色つや、体温の調整、塗ったものを取り込む働きをつかさどるとされるのがブラージャカ・ピッタです。

肌のほてりや炎症の文脈で語られます。

アビヤンガで塗ったオイルが体に働くと考えられているのは、この働きを介するためと説明されます。

肌の熱を鎮める文脈では、ニームのような苦味のハーブが伝統的に用いられてきました。

日常の一手

ピッタの乱れは、熱と鋭さが重なったときに起きやすいとされます。

だからこそ、少し冷まし、少しゆるめる方向が伝統的な整え方です。

辛いものや揚げものが続いたら、次の食事は穏やかな味にする。

日差しの強い時間は、無理に外を歩かない。

カッとなったら、まず一度息を吐く。

熱を責めずに、こもった熱を逃がしてあげる発想が、ピッタとのつきあい方とされてきました。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

ピッタが増えやすいのはどんな時ですか?

夏の暑い季節、辛いものや刺激物の摂りすぎ、強いストレスや競争的な状況などでピッタが増えやすいとされます。

ピッタの5種類とは何ですか?

働く場所で分けた5つの下位分類で、消化そのもののパーチャカ・ピッタ、血液に色を与えるランジャカ・ピッタ、思考と意志のサーダカ・ピッタ、視覚のアーローチャカ・ピッタ、皮膚の色つやと体温のブラージャカ・ピッタを指します。

心の消化とはどういう意味ですか?

アーユルヴェーダでは経験や情報も消化されるものとして扱われます。その心の側の消化を担うのがサーダカ・ピッタとされ、乱れるといらだちや思考の空回りとして現れやすいと説明されます。

なぜオイルを塗ると体に働くとされるのですか?

皮膚に座を持つブラージャカ・ピッタが、塗ったものを取り込む働きを持つと説明されるためです。アビヤンガの考え方の根拠になっています。

ピッタの乱れを整える日常の工夫はありますか?

冷やす性質の食べ物、涼しく落ち着いた環境、刺激物を控えることなどが、伝統的にピッタを鎮める方向とされてきました。