ヨガ・瞑想・呼吸アーユルヴェーダとヨガ|姉妹科学と呼ばれる関係を整理する
アーユルヴェーダとヨガはなぜ姉妹科学と呼ばれるのか。共通する世界観、役割の違い、体質別に向くとされる練習の方向、呼吸法や瞑想の位置づけまでを整理して解説します。…
Prāṇa / प्राण
Definition
ヨガとアーユルヴェーダで説かれる生命エネルギーのこと。呼吸とともに体に取り込まれ、全身を巡って心身の働きを支えるとされる。
この項目のポイント
ゆっくり息を吐いたとき、肩の力まで抜けていく。
慌ただしい日ほど、息が胸のあたりで止まっている。
そう感じたことがある方は、すでにプラーナの考え方の入り口に立っています。
インドの伝統は、息と心と体を動かしているものを一つの力として捉え、プラーナと名づけてきました。
プラーナ(Prāṇa)とは、ヨガとアーユルヴェーダに共通する、生命エネルギーの概念です。
サンスクリット語で、息や生命力を意味します。
呼吸とともに体へ取り込まれ、目に見えない通り道(ナーディ)を通って全身を巡ると考えられてきました。
心身のあらゆる働きを支え、生きていることそのものの原動力とされます。
中国医学の気と、きわめて近い発想です。
プラーナという語は、ヨガよりも古いウパニシャッドの時代から、生命の根本として語られてきました。
体のさまざまな働きが、誰がいちばん大切かを争い、最後にプラーナが抜けかけると全員が立っていられなくなる。
そうした寓話で、プラーナが生命の中心に置かれていることが示されています。
のちのヨガでは、このプラーナを呼吸によって扱う技法が体系化されました。
それがプラーナーヤーマで、八支則の第4段階に置かれています。
プラーナは、働く場所と方向によって5つに分けて説明されます。
| 名前 | 主な場所 | 担うとされる働き |
|---|---|---|
| プラーナ | 頭と胸 | 吸う息、取り込むこと、感覚 |
| アパーナ | 下腹部 | 排出、下へ向かう流れ |
| サマーナ | へそのあたり | 消化、取り込んだものをまとめる |
| ヴィヤーナ | 全身 | 巡らせること、循環 |
| ウダーナ | のど | 声、吐く息、上へ向かう流れ |
5つ全体をプラーナと呼び、その中の一つにもプラーナの名がついている点が、少しややこしいところです。
生命活動の全体を、エネルギーの流れの組み合わせとして捉えようとした見方といえます。
アーユルヴェーダの古典医学書では、動きを司るヴァータが、同じ5つの名前で分類されています。
その一つであるプラーナ・ヴァータは、頭を中心に、呼吸、飲み込むこと、感覚や心の働きを担うとされます。
考えがまとまらない、眠りが浅い、息が浅いといった状態は、この流れが乱れたものとして説明されることがあります。
現代のアーユルヴェーダの解説では、プラーナをオージャス、テージャスと並べて語ることがあります。
プラーナはヴァータ、テージャスはピッタ、オージャスはカパの精妙な側面として対応させる整理です。
プラーナが動きの力、テージャスが変容の力、オージャスが保つ力にあたります。
いちばん身近なのは、呼吸です。
吐く息を少し長くするだけでも、意識が内側へ戻ってきます。
ほかにも、ナーディショーダナのような呼吸法、ムドラー、チャクラに意識を向ける瞑想などが、伝統的に行われてきました。
いずれも、外の刺激を追いかける状態から、自分の内側の流れに注意を戻す方向の実践です。
プラーナは、科学的に測定される実体ではありません。
それでも、呼吸や心身の状態を丁寧に観察するための地図として、今も大切にされています。
本項目は伝統的な考え方および一般的な情報の紹介であり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。
プラーナは気と同じものですか?
中国医学の気ときわめて近い発想の概念で、どちらも目に見えない生命エネルギーが体を巡るという世界観を共有しています。ただし別々の伝統で発達した体系のため、細部の説明や分類は異なります。
プラーナは呼吸のことですか?
呼吸そのものではなく、呼吸に乗って体に入ってくる生命の力として説明されます。息がいちばん身近な入り口なので、呼吸と同じ意味で使われる場面もありますが、食べ物や日光からも取り込まれると考える伝統的な見方もあります。
プラーナとヴァータはどう違いますか?
ヴァータは動きを司るドーシャで、体の中での働きの単位です。プラーナはヨガで広く生命エネルギーを指す語ですが、アーユルヴェーダではヴァータの下位分類の一つ、頭と胸を中心に呼吸や感覚を担う働きの名前としても使われます。同じ語でも、文脈で指す範囲が変わります。