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ヨガ・瞑想・呼吸

プラーナーヤーマ

Prāṇāyāma / प्राणायाम

Definition

呼吸を意識的に整えることで生命エネルギー(プラーナ)を養う、ヨガの呼吸法の総称。

この項目のポイント

  • プラーナーヤーマは「プラーナ(生命エネルギー)を広げる」という意味の呼吸法の総称
  • 呼吸を通じて心身のバランスを整えることを目的とし、八支則では第4段階にあたる
  • 冷ます方向のシータリー、落ち着かせる方向のブラーマリー、温める方向のバストリカなど、働く方向の異なる技法がある
  • 速く強い呼吸のうち、カパーラバーティは吐く息だけを強くする浄化法、バストリカは吸う息も強くするプラーナーヤーマとして区別される
  • 強い保息や速い呼吸を伴う技法は指導者のもとで行うのがよいとされる

呼吸が浅い、気持ちが落ち着かない方へ

気づくと肩に力が入っていて、息が胸のあたりで止まっている。

そう感じて呼吸法を調べた方は、すでに自分の状態をよく見ています。

呼吸が浅くなっていると気づけること自体が、整えるための最初の一歩です。

アーユルヴェーダとヨガでは、呼吸は心と体をつなぐものと考えられてきました。

息が乱れれば心も揺れ、息がゆっくりになれば心も静まっていく。

この結びつきを手がかりに、呼吸を意識的に扱うのがプラーナーヤーマです。

プラーナーヤーマとは

プラーナーヤーマ(Prāṇāyāma)は、「プラーナ(生命エネルギー)」と「アーヤーマ(広げる・制御する)」からなる言葉です。

呼吸を意識的に整える、ヨガの呼吸法の総称を指します。

八支則では、アーサナ(姿勢)に続く第4段階に置かれています。

体の段階から心の段階へ移っていく、その境目にある実践といえます。

アーユルヴェーダから見た呼吸

呼吸を深くゆっくり整えることで、心を落ち着け、ヴァータの乱れを鎮める助けになるとされます。

ヴァータは動きと風の性質を持ち、乱れると不安や落ち着かなさとして現れやすいと考えられています。

呼吸が浅く速くなるのも、この動きが上ずった状態として捉えられます。

日々の養生(ディナチャリヤ)の一部として、また瞑想(ディヤーナ)の前の準備としても行われます。

代表的な技法と働く方向

プラーナーヤーマには多くの技法があり、それぞれ働く方向が違うとされます。

技法やり方伝統的な位置づけ
ナーディショーダナ片鼻ずつ交互に呼吸する穏やかに整える
ウジャイ喉を軽く締めて音を出す温める方向
シータリー丸めた舌から吸い、鼻から吐く冷ます方向
ブラーマリー蜂の羽音のような音で吐く落ち着かせる方向
バストリカ吸う息も吐く息も強く速く温める方向(指導下で)
カパーラバーティ吐く息だけを短く強く滞りを払う浄化法(指導下で)

季節や体質、その日の状態によって選び分けるのが、アーユルヴェーダらしい使い方とされています。

シータリー(体を冷やす呼吸)

シータリー(Śītalī)は、舌を筒状に丸め、そこから息を吸い込み、鼻から吐く呼吸法です。

名前は、冷たいという意味を持ちます。

体を冷ます方向に働くとされ、熱がこもりやすいピッタの状態や、夏に向くとされます。

季節に合わせた過ごし方(リトゥチャリヤ)の中で、暑い時期の呼吸として紹介されることがあります。

温める方向に働くウジャイとは、対になる技法です。

舌を丸められないとき

舌を丸められない場合は、歯のすきまから吸うシートカーリーという方法が用いられます。

舌を丸められるかどうかは体質によるものなので、無理に練習するものではありません。

ブラーマリー(蜂の呼吸)

ブラーマリー(Bhrāmarī)は、耳を軽く塞ぎ、蜂の羽音のような低い音を出しながら息を吐く呼吸法です。

名前は、蜂を意味します。

音の振動と長い呼気によって、心を落ち着かせるとされます。

落ち着かなさや眠りの浅さといったヴァータの乱れの文脈で用いられてきました。

ナーディショーダナと並んで、穏やかな技法とされます。

バストリカ(ふいごの呼吸)

バストリカ(Bhastrikā)は、吸う息と吐く息の両方を強く速く繰り返す呼吸法です。

名前は、鍛冶で火をおこすときに使うふいごを意味します。

ふいごが風を送って火を強めるように、体の内側の熱を高める方向に働くとされてきました。

ハタヨーガの古典『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』では、息を保つ技法(クンバカ)の一群に数えられています。

吸う息も自分から行う

いちばんの特徴は、吸う息を受け身にしない点です。

お腹と胸を使って強く吸い、続けて強く吐く。

この往復を、同じ重さで一定のリズムで繰り返します。

伝統的な指導では、まず1秒に1回ほどのゆっくりした速さで10回から20回の一区切りを行い、自然な呼吸に戻して休みます。

速さと回数を追うより、途中で呼吸が乱れないことが優先されます。

向く日と向かない日

温める方向に働くとされるため、重さと停滞が特徴のカパが増えているときに用いられてきました。

寒い季節の朝や、体が重くて動き出せない朝に選ばれることが多い技法です。

消化の火であるアグニを支える文脈で語られることもあります。

反対に、のぼせやすいときや熱がこもっているときには向きません。

その日はシータリーのような冷ます呼吸に切り替えます。

空腹時が基本で、食後すぐと寝る直前は避けます。

カパーラバーティ(頭を輝かせる浄化法)

カパーラバーティ(Kapālabhāti)は、お腹を使って短く強く吐く動作を繰り返す方法です。

カパーラは頭蓋、バーティは輝きを意味し、頭を明るくする、頭蓋を輝かせるという名前を持ちます。

日本では火の呼吸と呼ばれることもあります。

呼吸法ではなく浄化法

厳密には、プラーナーヤーマではありません。

ハタヨーガの古典では、体を清める6つの浄化法(シャットカルマ)の一つに置かれています。

浄化法は、呼吸の練習に入る前に体の側を整えておく作業という位置づけです。

そのため練習の組み立てでは、前半に置かれることが多い技法です。

吐くだけを強く、吸うのは任せる

お腹を引き入れて短く強く吐き、そのあとは力を抜きます。

抜いた反動で空気が入ってくるので、吸う息は結果として起きるものです。

重く停滞しやすいカパを動かす方向に働くとされ、朝に行われることが多い技法です。

バストリカとの違い

外から見ると、どちらも同じ速い呼吸に見えます。

違いは吸う息で、自分から強く吸うのがバストリカ、力を抜いて任せるのがカパーラバーティです。

片方だけを能動的に行うのと両方を行うのとでは、疲れ方も続けられる長さも変わってきます。

その日の体でどちらを選ぶかは、カパーラバーティとバストリカの違いで詳しく整理しています。

日常の一手

まずは技法の名前より、吐く息をいつもより少し長くすることから始めてみてください。

寝る前に数回、ゆっくり吐くだけでも、呼吸に意識を向ける時間になります。

慣れてきたら、暑い日にはシータリー、気持ちが落ち着かない夜にはブラーマリーと、その日の状態で選ぶ楽しみも出てきます。

気をつける線

強い保息(息を止める)を伴う技法や、バストリカ・カパーラバーティのような速く強い呼吸は、指導者のもとで行うのがよいとされます。

とくに速く強い呼吸は、妊娠中・生理中、高血圧や心臓・呼吸器に不調があるとき、めまいや目・耳の不調があるとき、発熱しているとき、食後すぐには避けるべきとされます。

回数や速さで頑張るものではありません。

息苦しさやめまいを感じたら、すぐに普段の呼吸に戻してください。

持病がある方や体調がすぐれない時は無理をせず、専門家に相談してください。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

プラーナーヤーマは初心者でもできますか?

ゆっくりとした深い呼吸から始められます。ただし強い保息(息を止める)を伴う技法は指導者のもとで行うのがよいとされます。体調がすぐれない時は無理をしないでください。

ブラーマリーとはどんな呼吸法ですか?

耳を軽く塞ぎ、蜂の羽音のような低い音を出しながら息を吐く呼吸法です。落ち着かなさや眠りの浅さといったヴァータの乱れの文脈で用いられ、穏やかな技法とされます。

バストリカとカパーラバーティはどう違いますか?

吸う息の扱いが違います。カパーラバーティは吐く息だけを強く行い、吸う息は力を抜いて自然に戻るのに任せます。バストリカは吸う息も吐く息も自分から強く行います。分類も異なり、カパーラバーティは浄化法、バストリカはプラーナーヤーマの一つに数えられるのが一般的です。

シータリーとウジャイはどう違いますか?

働く方向が逆とされます。シータリーが冷ます方向、ウジャイが温める方向で、季節やピッタの状態によって使い分けられてきました。