アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
施術・トリートメント

ラクタモークシャナ

Raktamokṣaṇa / रक्तमोक्षण

Definition

瀉血のこと。熱のこもった血液を体の外へ出す処置で、スシュルタ・サンヒターの数え方ではパンチャカルマの5つの処置のうちの一つ。

この項目のポイント

  • ラクタモークシャナは血液を体の外へ出す処置で、日本語では瀉血と訳される
  • ピッタと血液(ラクタ)の結びつきから、ピッタの熱がこもった状態に用いられるとされてきた
  • スシュルタ・サンヒターではパンチャカルマの一つに数えられるが、チャラカ・サンヒターの数え方には入らない
  • ヒル・角・ひょうたん・刃物を使う方法があり、ドーシャによって使い分けると記されている
  • 医師の管理のもとで行われる医療の領域の処置で、日本の一般のサロンで受けられるものではない

熱が血にこもるという考え方

暑さが続くと、肌が赤くなったり、吹き出物が出やすくなったりする。

体の熱が、肌の表面にまで上がってくるような感覚です。

アーユルヴェーダでは、この熱をピッタと、それを運ぶ血液(ラクタ)の結びつきで捉えてきました。

ラクタはピッタのすみかとされ、ピッタが増えると血液も熱を帯びる、と考えられてきたのです。

その熱のこもった血液を体の外へ出す処置として、古典に記されているのがラクタモークシャナです。

ラクタモークシャナとは

ラクタモークシャナ(Raktamokṣaṇa)とは、血液を体の外へ出す処置のことで、日本語では瀉血と訳されます。

ラクタは血液、モークシャナは解き放つことを意味します。

スシュルタ・サンヒターの数え方では、パンチャカルマを構成する5つの処置の一つに入ります。

医師が行う医療的な処置として記されたものであり、自分で試すものではありません。

古典による数え方の違い

パンチャカルマの5つが何を指すかは、古典によって少し違います。

古典5つの数え方
チャラカ・サンヒターヴァマナ、ヴィレーチャナ、ニルーハ・バスティ、アヌヴァーサナ・バスティ、ナスヤ
スシュルタ・サンヒターヴァマナ、ヴィレーチャナ、バスティ、ナスヤ、ラクタモークシャナ

チャラカはバスティを2つに分けて数え、スシュルタはバスティを1つにまとめて、代わりにラクタモークシャナを入れています。

内科の伝統を持つチャラカに対し、スシュルタは外科(シャリヤ・タントラ)の伝統を持つ古典です。

器具を使って体の外から働きかける処置が数えられているのは、スシュルタらしい組み立てといえます。

古典に記された方法

スシュルタ・サンヒターには、刃物を使う方法と、使わない方法の両方が記されています。

方法内容伝統的に向けられるドーシャ
ジャラウカーヒルに吸わせるピッタ
シュリンガ動物の角を用いるヴァータ
アラーブひょうたんを用いるカパ
プラッチャーナ、シラーヴェーダ刃物で皮膚や血管を開く状態に応じて

ヒルは冷たい水に住む生きものであることから、熱を持つピッタに向くと考えられてきました。

ドーシャの性質に合わせて道具まで選び分けるところに、アーユルヴェーダの考え方がよく表れています。

いまの位置づけ

日本では、一般のサロンやリトリートで受けられる処置ではありません。

インドでは、アーユルヴェーダの医療機関で、医師の管理のもとにヒルを用いる方法などが行われることがあります。

いずれにしても、感染や出血の管理を含めた医療の領域にある処置です。

日々の暮らしでピッタの熱が気になるときは、辛いものや油の多いものを控える、暑い時間に無理をしない、といった養生が入り口になります。

血を清めるとされるハーブとしては、マンジシュタやニームの名前が伝統的に挙がります。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

ラクタモークシャナとは何ですか?

血液を体の外へ出す処置を指すサンスクリット語で、日本語では瀉血と訳されます。スシュルタ・サンヒターの数え方では、パンチャカルマの5つの処置の一つに数えられます。

チャラカ・サンヒターのパンチャカルマには入っていないのですか?

入っていません。チャラカはバスティを煎じ液のものとオイルのものの2つに分けて数えるため、ラクタモークシャナは5つの外に置かれます。

いまも行われている処置ですか?

インドではアーユルヴェーダの医療機関で、医師の管理のもとにヒルを用いる方法などが行われることがあります。日本の一般のサロンやリトリートで受けられるものではありません。