アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
理論・概念

ダートゥ

Dhātu / धातु

Definition

食べたものが順に変換されてつくられる、体を構成する7つの組織のこと。

この項目のポイント

  • ダートゥは体を構成する7つの組織で、食べたものが順に変換されてつくられるとされる
  • 最終産物としてオージャスが生まれると考えられている
  • 2番目のラクタは血液にあたり、ピッタと結びつけて語られることが多い
  • 便・尿・汗などのマラ(老廃物)とあわせて、ドーシャ・ダートゥ・マラの3つで体を見る

食べたものが体になるまで

今日食べたものが、そのまま今日の体になるわけではない。

なんとなく、そう感じている人は多いと思います。

無理をした食生活のつけが、少し遅れて肌や疲れに出てくる。

その感覚は、アーユルヴェーダの組織の考え方とよく重なります。

食べたものは、何段階もの変換を経て、少しずつ体になっていく。

その段階ごとの組織をダートゥと呼びます。

ダートゥとは

ダートゥ(Dhātu)は、体を構成する7つの組織を指します。

語には、支えるもの、保つものという意味があります。

アグニ(消化の火)によって、食べたものが順に変換されながらつくられていくと考えられています。

7つのダートゥ

順番名前おおよそ対応するもの
1ラサ体液、リンパ液のようなもの
2ラクタ血液
3マーンサ筋肉
4メーダス脂肪
5アスティ骨
6マッジャー骨髄、神経
7シュクラ生殖組織

ラサからシュクラへと、この順に変換が進むとされます。

前の段階が整っていなければ、次の段階も十分につくられない。

この連鎖の考え方が、ダートゥの特徴です。

それぞれのダートゥには、その組織を養うための火(ダートゥ・アグニ)が働くとも説明されます。

なお、1番目のラサ(体液)は、6つの味を指すラサと同じ綴りの別の意味です。

オージャスとの関係

7段階の変換をすべて経た最終産物として、オージャスが生まれるとされます。

逆に消化がうまくいかなければ、途中でアーマ(未消化物)が生じ、組織の質が落ちると説明されます。

組織と組織のあいだをつなぐ通り道はスロータスと呼ばれ、各ダートゥに対応する経路があるとされます。

ドーシャ・ダートゥ・マラ

アーユルヴェーダは、体を3つの側面から見ます。

働きを動かすドーシャ、体をつくるダートゥ、そして外へ出ていくマラです。

スシュルタ・サンヒターには、体はドーシャ・ダートゥ・マラを根とする、という趣旨の言葉があります。

3つはどれも、多すぎても少なすぎても乱れとされます。

増えたか減ったかで状態を読む見方は、ヴリッディ・クシャヤと呼ばれます。

ラクタ(血液にあたる組織)

ラクタ(Rakta)は、7つのダートゥのうち、ラサに続く2番目の段階にあたる組織で、血液にあたるとされます。

サンスクリット語で「赤いもの」「色づいたもの」を意味する語に由来するといわれています。

ラクタは、ラサから変換されてつくられるとされます。

この変換にはランジャカ・ピッタが関わり、色を与える働きを担うとされます。

ラクタの質が整わなければ、次のマーンサ(筋肉)以降の質にも影響すると考えられています。

ラクタが流れる経路は、ラクタ・ヴァハ・スロータスと呼ばれます。

ここが乱れると、肌の色つやや熱っぽさに現れると説明されます。

ラクタは熱の性質を持つピッタと結びつけて語られることが多い組織です。

スシュルタ・サンヒターでは、血液をドーシャに近い重みで扱う記述が見られます。

ケアの文脈では、血のめぐりを整えるとされるマンジシュタなどのハーブが伝統的に用いられてきました。

歴史的な処置としては、血液を抜くラクタモークシャナ(瀉血)が古典に記されていますが、現代ではほとんど行われていません。

血のめぐりという言葉と現代の血液検査の違いは、ラクタを扱った記事で紹介しています。

マラ(出ていくもの)

マラ(Mala)は、体の営みの結果として生じ、外へ出されるべきものを指します。

主なものは次の3つです。

名前意味
プリーシャ便
ムートラ尿
スヴェーダ汗

マラという語には、汚れという意味もあります。

けれど、アーユルヴェーダはマラを悪者として扱いません。

適切な量が、適切な時に出ていること自体が、健やかさの条件とされます。

便は体を支え、尿は水分の調整に、汗は肌の潤いと体温の調整に関わる、と説明されることもあります。

問題になるのは、出るべきものが滞ったときや、出すぎたときです。

出るべきものが体に残ると、アーマと結びついて不調につながると考えられてきました。

また、ダートゥ自身も、変換の過程でそれぞれの老廃物を生むとされます。

食べたものが組織になるまでの流れと、要らなくなったものが出ていく流れ。

その両方がそろって、はじめて体の営みが回ると考えるのがアーユルヴェーダです。

便通の状態、尿の色や量、汗のかき方は、体調を読むための身近な手がかりとして、古典でも詳しく扱われています。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。

FAQよくある質問

ダートゥとは何ですか?

体を構成する7つの組織を指します。支えるもの、保つものという意味を持ち、アグニによって食べたものが順に変換されながらつくられていくと考えられています。

マラは悪いものですか?

そうではありません。便・尿・汗などのマラは、体が営みを続けた結果として出るものであり、適切な量で出ていることが健やかさの条件とされます。問題とされるのは、出るべきものが滞ったり、出すぎたりすることです。

ラクタは現代医学でいう血液と同じですか?

重なる部分はありますが、同じものではありません。ラクタは消化の連鎖の2番目にあたる組織という位置づけで、肌の色つやや熱っぽさなどとも結びつけて語られます。違いはラクタと血液の違いを扱った記事で詳しく紹介しています。