ハーブ・生薬アーユルヴェーダの代表ハーブ10選|性質と伝統的な使われ方
アーユルヴェーダで用いられてきた代表的なハーブ10種を、性質・ドーシャへの働き・伝統的な使われ方で整理しました。アシュワガンダ、トリファラ、ターメリックなど、名…
Ghṛta / घृत (Ghee)
Definition
無塩バターから水分と乳固形分を取り除いた、純粋な乳脂肪(澄ましバター)。アーユルヴェーダで最も尊ばれる油とされ、消化力や滋養を支える目的で伝統的に用いられてきた。
この項目のポイント
ギーで炒めた野菜は、バターで炒めたものより、なぜか後に残らない。
香りは豊かなのに、食べたあとの胃の重さが少ない。
ギーを使い始めた人の多くが、こうした違いに気づきます。
アーユルヴェーダは、この油を数千年にわたって特別扱いしてきました。
ギーは、台所の油であると同時に、薬をつくる土台でもあったからです。
ギー(Ghee、サンスクリット語でギュリタ *Ghṛta*)は、無塩バターを弱火で加熱し、水分と乳固形分を取り除いてつくる、純粋な乳脂肪です。
日本語では澄ましバターとも呼ばれ、澄んだ黄金色と香ばしい風味が特徴です。
アーユルヴェーダでは数ある油(スネーハ)の中でも最も優れたものの一つとされ、食養生から施術まで幅広い場面で登場します。
チャラカ・サンヒターは、体に用いる油脂を4つに分けています。
ギー、ゴマなどの植物油、獣脂、骨髄の4つです。
そしてこのうち、ギーを最上のものと位置づけています。
理由として挙げられるのが、ギーの持つ独特の性質です。
ギーは、一緒に煮たハーブの性質を受け取りながら、自分自身の性質も失わないとされます。
ほかの素材の力を取り込み、それを体に運ぶ器になれる。
この性質こそが、ギーが特別扱いされてきた理由です。
ギーは甘味を持ち、冷ます性質で、重く油性とされます。
うるおいを与えて乾きを癒やす性質から、乾燥や不安定さをもつヴァータを落ち着かせるとされます。
熱をもつピッタを穏やかに鎮める油としても、伝統的に説明されてきました。
チャラカ・サンヒターでも、ヴァータとピッタを鎮めるもののなかで最も優れたものとして、ギーの名が挙がります。
一方で、重く油性の性質はカパと同じ方向です。
カパが高まっているとき、体が重いとき、未消化物のアーマがたまっているときには、控えめにするのが伝統的な扱いです。
多くの油は消化に重いとされるなか、ギーは消化の火(アグニ)を鈍らせにくい油と考えられてきました。
それでも、消化が弱っている日に多く摂ってよいという意味ではありません。
アーユルヴェーダの大きな特徴が、ハーブの成分をギーに溶かし込んでつくる薬用ギー(ギュリタ)です。
ハーブの煎じ液やペーストとギーを一緒に煮て、水分が飛んだところで仕上げます。
脂溶性の成分を体に届けやすくする土台としてギーが選ばれ、古典には数多くの処方が記されています。
ブラーミーを使ったものや、トリファラを使ったものなど、ハーブの名前を冠した薬用ギーが今も作られています。
浄化法であるパンチャカルマの準備段階でも、ギーは重要な役割を持ちます。
体の内側から油を行き渡らせるスネーハナ(油剤法)で、ギーを少しずつ飲む方法が知られています。
これは専門家の管理のもとで行われるもので、家庭で自己流に行うものではありません。
ギーとはちみつは、どちらも古典で高く評価される素材です。
ところが、この2つを同じ量で合わせることは避けるべきとされます。
単独では良いものどうしでも、組み合わせ方で合わなくなるという、ヴィルッダ・アーハーラの代表例です。
量を変えて合わせる使い方は、伝統的にも見られます。
ギーは加熱に強く風味が豊かなため、炒め物やスープの仕上げ、トーストなど、日常の料理でバターや油の代わりに使えます。
近年は日本でも瓶詰めのギーが手に入りやすくなりました。
とはいえ脂質であることに変わりはないので量は適度にし、体質や健康状態が気になる場合は専門家に相談することがすすめられます。
本項目は伝統的な考え方および一般的な情報の紹介であり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。
ギーとは何ですか?
無塩バターを弱火で加熱し、水分と乳固形分(タンパク質など)を取り除いた、純粋な乳脂肪です。澄ましバターとも呼ばれ、澄んだ黄金色をしています。アーユルヴェーダではギュリタと呼ばれ、最も尊ばれる油の一つとされてきました。
ギーとバターは何が違いますか?
バターには水分と乳固形分が含まれますが、ギーはそれを加熱して取り除いた乳脂肪だけのものです。そのため焦げにくく、常温でも傷みにくいのが特徴です。アーユルヴェーダでも、バター(ナヴァニータ)とギーは別の性質を持つ素材として扱われます。
誰にでも向いていますか?
ヴァータやピッタが高まっているときには使いやすい油とされますが、重く油性の性質を持つため、カパが高いときや消化が弱っているとき、体が重いときは控えめにするのが伝統的な扱いです。脂質であることに変わりはないので、量は適度にし、健康状態が気になる場合は専門家に相談してください。