モリンガ(シグル)
Śigru / शिग्रु
Definition
栄養価の高さで知られる樹木で、軽くする方向に働くとされる素材。
モリンガとは
モリンガとは、インド北部を原産とするワサビノキ科の樹木(学名 *Moringa oleifera*)で、アーユルヴェーダではシグル(Śigru)の名で知られる素材です。
葉・さや・種子と、木のほとんどの部分が食用や薬用に使われてきました。
日本ではスーパーフードとして粉末やお茶で見かけることが増えましたが、インドでは昔から庭先に植えられている身近な木です。
和名はワサビノキ
モリンガの和名は、ワサビノキといいます。
根をすりおろすと、わさびや西洋わさびに似たツンとした辛味と香りがあるためです。
英語でも、同じ理由からホースラディッシュ・ツリーと呼ばれることがあります。
この辛味は、アーユルヴェーダが記すシグルの性質とそのまま重なります。
部位ごとの使われ方
一本の木から、季節や用途に応じていろいろな部位が使われてきました。
| 部位 | 主な使われ方 |
|---|---|
| 葉 | 炒め物や汁物の青菜、乾燥させて粉末やお茶に |
| さや | ドラムスティックと呼ばれ、スープやカレーの具に |
| 種子 | 油をとる、炒って食べる |
| 根・樹皮 | 伝統的な薬用の素材として扱われてきた |
食卓に上るのは、主に葉とさやです。
根や樹皮は強い性質を持つとされ、家庭の料理で使う部位ではありません。
南インドの台所のドラムスティック
南インドの家庭料理に欠かせない具材のひとつが、モリンガのさやです。
細長く固い皮の中に、柔らかい果肉と種が詰まっています。
豆と野菜の酸味のあるスープ、サンバルに入れて煮込むのが定番です。
食べるときは、さやを口でしごいて中身だけを食べ、固い皮は残します。
葉は、ココナッツと一緒に炒めたり、豆の汁物に加えたりして、日常の青菜として使われてきました。
古典が記す性質
シグルについて伝えられている性質は、次のとおりです。
軽く、乾いて、温める性質は、重く湿ったカパと反対の方向です。
そのため、重さや停滞をさばく文脈で用いられ、カパと未消化物のアーマの調整に向くとされてきました。
体を軽くする方向の養生であるランガナと相性のよい素材とも言えます。
栄養の素材と性質の素材
現代の紹介では、モリンガはビタミンやミネラルの多さで語られることがほとんどです。
アーユルヴェーダは、同じ木を味と性質で見ます。
どちらが正しいという話ではなく、見ている角度が違います。
栄養が豊富だから誰にでもたくさん、とはならないのがアーユルヴェーダの考え方です。
温めて乾かす性質を持つ以上、熱がこもりやすいピッタの人や乾きやすい体質の人は、量を控えめにするのがよいとされます。
取り入れる前に
葉やさやを料理に使う範囲であれば、インドでは日常の食材です。
粉末やサプリメントをまとまった量でとる場合は、製品の表示を守ってください。
妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、使う前に医師や専門家に相談してください。
本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。
FAQよくある質問
シグルとは何ですか?
モリンガを指すサンスクリット語です。葉・さや・種子が食用や薬用に使われる樹木で、アーユルヴェーダの古典にもこの名前で登場します。
ドラムスティックとは何ですか?
モリンガの細長いさやのことです。形が太鼓のばちに似ていることからこの名で呼ばれ、南インドでは豆と野菜のスープであるサンバルの定番の具になっています。
スーパーフードとして紹介されるものと同じですか?
植物としては同じものです。ただしアーユルヴェーダで語られるのは味や働く方向による位置づけであり、栄養素の量で語る現代の紹介とは見ている角度が異なります。
Sources出典
- Moringa oleifera: An Updated Comprehensive Review of Its Pharmacological Activities, Ethnomedicinal, Phytopharmaceutical Formulation, Clinical, Phytochemical, and Toxicological AspectsInternational Journal of Molecular Sciences(査読誌の総説)