アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
ハーブ・生薬

ニーム

Nimba / निम्ब (Neem)

Definition

インドセンダンとも呼ばれる樹木で、葉・樹皮・種子までが幅広く使われてきたアーユルヴェーダの代表的な苦味のハーブ。肌のケアや口腔ケア、虫よけまで、村の薬局と呼ばれるほど多用途に親しまれてきた。

この項目のポイント

  • ニームはインドセンダンとも呼ばれる樹木で、村の薬局と呼ばれるほど多用途に使われてきた
  • 苦味と冷ます性質をもち、ピッタとカパを鎮めるハーブと伝統的に説明される
  • 葉・小枝・花・種子のオイルと、部位ごとに使い道が分かれている

ニームとは

ニーム(Neem)とは、センダン科の常緑樹 *Azadirachta indica* のことで、日本語ではインドセンダンと呼ばれます。

サンスクリット語ではニンバ(*Nimba*)。

葉、樹皮、花、種子、そこから採れるオイルまで、木のほぼすべてが使われてきました。

一本あれば暮らしの手当てがまかなえるという意味を込めて、インドでは村の薬局という愛称で親しまれています。

苦い葉を口にする新年

南インドのウガディ(テルグ語圏やカンナダ語圏の新年)には、ニームの花を使った特別な一皿をいただく習わしがあります。

ニームの花の苦味に、黒砂糖の甘味、タマリンドの酸味、塩、唐辛子の辛味、青いマンゴーの渋味を合わせたものです。

人生には甘いことも苦いこともある。

その全部を受け入れて新しい年を始める、という願いが込められています。

アーユルヴェーダの6つの味を一皿にそろえるこの料理で、苦味の役を担うのがニームです。

センダンとの違い

日本の山野にもセンダンという木が自生していて、葉の形がよく似ています。

けれども日本のセンダンは *Melia azedarach* という別の種で、ニームとは同じ科の親戚にあたります。

庭のセンダンをニームの代わりに使うことはできません。

古典での性質

アーユルヴェーダでは、ニームは苦味を代表するハーブとされ、渋味もあわせもちます。

軽い性質で、体を冷ます側(ヴィーリヤが冷)に分類されてきました。

熱をもつピッタと、重く停滞しやすいカパを鎮めると説明され、暑い季節や、肌に熱っぽさを感じるときのケアの文脈でよく登場します。

一方で、苦味の強いものは摂りすぎると乾きと軽さが増え、ヴァータを乱しやすいとも考えられています。

部位ごとの使い分け

部位伝統的な使われ方現代での姿
葉煮出した湯やペーストで肌を清潔に保つ手当てニーム配合の石けん、スキンケア製品
小枝先を噛みほぐして歯を磨く歯木(ダートゥン)ニーム配合の歯磨き粉
花新年の料理や、季節の食事の苦味として南インドの郷土料理
種子のオイル灯りや外用、虫よけ化学農薬に頼らない園芸・農業の虫よけ

歯木で歯を磨く習慣は、朝の養生であるディナチャリヤの一部として古典にも描かれています。

同じく口の中を整えるガンドゥーシャ(オイルうがい)と並ぶ、朝の口腔ケアの伝統です。

肌まわりの手当てでは、温める性質のターメリックと組み合わせて語られることも多いハーブです。

取り入れるときの心構え

外用や日用品としては取り入れやすいハーブですが、性質が強いとされるため、内服は自己判断を避けることが大切です。

妊娠中の方や小さな子ども、持病・服薬中の方は、事前に専門家へ相談することがすすめられます。

本項目は伝統的な考え方および一般的な情報の紹介であり、特定の効果・効能を保証したり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

ニームと日本のセンダンは同じ木ですか?

同じセンダン科ですが、別の種類の木です。ニームはAzadirachta indica、日本の山野に自生するセンダンはMelia azedarach で、見た目が似ていても同じものとして扱うことはできません。

ニームオイルは口に入れてもよいですか?

市販のニームオイルは、外用や園芸の虫よけとして作られたものがほとんどです。口に入れるものではないので、とくに小さな子どもの手の届かない場所に保管してください。

ニームは毎日使っても大丈夫ですか?

石けんや歯磨き粉のような日用品は、製品の表示どおりに使う分には取り入れやすいものです。一方で内服は性質が強いとされるため自己判断を避け、妊娠中の方や持病・服薬中の方は事前に専門家へ相談してください。