アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
理論・概念

スロータス

Srotas / स्रोतस्

Definition

体内で物質やエネルギーが流れる通り道のこと。詰まりが不調のもとになるとされる。

この項目のポイント

  • スロータスは、栄養・老廃物・息・心の働きなどが流れる体内の通り道の総称
  • チャラカ・サンヒターでは、運ぶものごとに13の経路が挙げられている
  • 乱れは、流れすぎ・詰まり・こぶのような滞り・道をそれるの4つの形で語られる

めぐりが悪い、という感覚

なんとなく、めぐりが悪い。

体のどこかが詰まっている気がする。

そんな言い方を、私たちは説明なしに使っています。

この言葉の感覚は、アーユルヴェーダの体の見方とよく重なります。

アーユルヴェーダは、体の中に無数の通り道があり、そこを流れるものが滞ると不調が起こると考えてきました。

その通り道をスロータスと呼びます。

スロータスとは

スロータス(Srotas)は、体の中を物質やエネルギーが通る経路の総称です。

語には、流れる、しみ出すという意味の動詞が含まれています。

消化管や血管のような目に見える管だけでなく、栄養や老廃物が運ばれる道筋全般を指す、広い概念として使われます。

運ぶものごとの経路

チャラカ・サンヒターでは、何を運ぶかによって13の経路が挙げられています。

運ぶもの経路の例
生命の息・水・食べ物プラーナ・ヴァハ、ウダカ・ヴァハ、アンナ・ヴァハ
7つの組織ラサ・ヴァハ、ラクタ・ヴァハからシュクラ・ヴァハまで
排泄されるものムートラ・ヴァハ、プリーシャ・ヴァハ、スヴェーダ・ヴァハ

ヴァハは運ぶものという意味です。

プラーナの通り道、水の通り道、食べ物の通り道があり、ダートゥの7つの組織にはそれぞれ対応する経路があります。

便・尿・汗というマラにも、それぞれの経路が数えられています。

これらとは別に、心の通り道(マノ・ヴァハ)も語られます。

体だけでなく心にも流れがある、という見方です。

乱れの4つの形

チャラカ・サンヒターは、スロータスの乱れを4つの形に分けて述べています。

名前意味
アティプラヴリッティ流れすぎる
サンガ流れが止まる、詰まる
シラーグランティこぶのように滞る
ヴィマールガ・ガマナ本来の道をそれて流れる

詰まることだけが乱れではありません。

流れすぎること、道をそれることも、同じく通り道の乱れとして扱われます。

この4つの見方があることで、出すぎる不調と出なさすぎる不調を、同じ枠組みで読むことができます。

詰まりとアーマ

なかでもよく語られるのが、アーマ(未消化物)による詰まりです。

重く粘るアーマがスロータスに付着して流れを妨げる状態は、スロータヴァローダと呼ばれます。

アグニが弱ってアーマが生まれ、それが通り道を詰まらせ、運ばれるはずのものが届かなくなる。

この連鎖が、不調のなりたちを説明する大切な枠組みになっています。

病がどこで形をとるかを追う考え方は、ニダーナの項で扱っています。

通り道をひらく養生

めぐりを整えるという表現は、スロータスの通りをよくするという意味で使われます。

その土台は、アーマを生まないようアグニを整えることです。

体を内と外から油でなじませるスネーハナは、通り道をやわらげ、滞ったものを動きやすくする前処置として伝統的に用いられてきました。

どの経路が滞っているかによって現れ方が変わると考えられているため、気になる症状が続くときは、自己判断で済ませず専門家や医療機関に相談してください。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

スロータスとは何ですか?

体の中を物質やエネルギーが通る経路の総称です。消化管や血管のような目に見える管だけでなく、栄養や老廃物が運ばれる道筋全般を指す広い概念です。

スロータスはナーディと同じものですか?

重なる部分はありますが、別の文脈の言葉です。スロータスはアーユルヴェーダの古典で、組織や老廃物を運ぶ通り道として語られます。ナーディは主にヨガやタントラの文脈で、プラーナが流れる微細な管として語られます。

めぐりを整えるとはどういう意味ですか?

この経路の通りをよくするという意味で使われます。各ダートゥには対応する経路があるとされ、どこが滞っているかで現れ方が変わると考えられてきました。