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施術・トリートメント

スネハナ

Snehana / स्नेहन

Definition

油を用いて体をゆるめる処置の総称。パンチャカルマの準備段階にあたり、全身のほか腰・膝・頭・目・耳などの局所に行う形もある。

この項目のポイント

  • スネハナは油を用いる処置の総称で、パンチャカルマの前処置(プールヴァカルマ)にあたる
  • ギーなどを摂る内側のものと、アビヤンガなど外側から行うものがある
  • 外側の処置には、ピチュ・カティバスティ・ジャーヌバスティ・シローヴァスティ・ネートラタルパナなど部位ごとの形がある
  • 局所の処置の多くは施術者のもとで行われるもので、家庭で行うものではない
  • 耳のカルナプーラナは日課(ディナチャリヤ)の一つとしても古典に挙げられている

スネハナとは

スネハナ(Snehana)は、油を用いる処置の総称です。

パンチャカルマの前処置(プールヴァカルマ)として行われます。

サンスクリット語のスネーハには、油という意味のほかに、慈しみや親しみという意味もあるとされます。

油で体を包み、ゆるめるという処置の性格が、言葉の中にも表れています。

内と外の2つ

スネハナには、体の内側から行うものと、外側から行うものがあります。

内側にはギーなどを決められた量で数日にわたって摂り、外側にはアビヤンガ(オイルマッサージ)を行います。

目的は、組織にとどまったアーマや過剰なドーシャを油でゆるめ、動かせる状態にすることです。

この準備なしに排出だけを行っても負担が大きいとされ、温めて発汗を促すスエダナと組にして行われます。

局所に行うスネハナ

外側から行うスネハナには、全身のアビヤンガのほかに、部位を絞って油を留めておく処置がいくつもあります。

名前部位方法伝統的な文脈
ピチュ頭頂・腰など油を含ませた綿や布を当てるヴァータの乾きと冷え
カティバスティ腰土手を作り油を溜めるヴァータが座を持つ領域
ジャーヌバスティ膝土手を作り油を溜めるヴァータが乱れやすい関節
シローヴァスティ頭筒を作り油を溜める頭部の処置で最も本格的
ネートラタルパナ目土手を作りギーで満たす目の疲れや乾き
カルナプーラナ耳温めた油を数滴入れる日課の一つ

油を長く留めることで、その部位に油と熱の両方を届ける、という考え方が共通しています。

施術者のもとで行うもの

ここに並ぶ処置のうち、カルナプーラナを除く多くは、施術者のもとで行われるものです。

土手の作り方、油の温度や時間は、体の状態を見ながら施術者が判断します。

家庭で真似をするものではない、という線をはっきり引いておきます。

ピチュ(油を含ませた布を当てる)

ピチュ(Picu)は、温めたオイルを含ませた綿や布を、頭頂や腰などに当てて一定時間おく処置です。

オイルを長く留めることで、ヴァータの乾きと冷えに働きかけるとされます。

カティバスティのように土手を作らない点が、ほかの局所の処置との違いです。

器を作らずに行える、手軽な形として用いられてきました。

油にはごま油などが使われます。

カティバスティ(腰に油を溜める)

カティバスティ(Kaṭi Basti)は、腰の上に小麦粉などで土手を作り、その中に温めた薬用オイルを溜めて一定時間おく局所的な処置です。

ヴァータが座を持つ領域を、油と熱の両方で同時にケアする方法とされます。

名前のバスティは容器を意味し、浣腸のバスティとは別の処置です。

膝に行うジャーヌバスティ、首に行うグリーヴァーバスティなど、部位に応じた種類があります。

ジャーヌバスティ(膝に油を溜める)

ジャーヌバスティ(Jānu Basti)は、膝の周りに小麦粉などで土手を作り、その中に温めた薬用オイルを溜めて一定時間おく局所的な処置です。

ジャーヌ(जानु)は、膝を意味します。

膝はヴァータが乱れやすい関節の一つとされ、油と熱の両方で同時にケアする方法とされます。

処置の仕組みはカティバスティと同じで、対象の部位が異なります。

いずれも部位に応じた土手の作り方をする点は共通しています。

アビヤンガなどの全身オイルマッサージと組み合わせて行われることもあります。

シローヴァスティ(頭に油を溜める)

シローヴァスティ(Śiro Basti)は、頭に革や布で筒を作り、その中に温めた薬用オイルを溜めて一定時間おく処置です。

頭部への処置の中でも、もっとも深く働くとされます。

額にオイルを流すシロダーラ、頭皮に塗るシローアビヤンガと並ぶ頭部の処置です。

処置油の使い方
シローアビヤンガ頭皮に塗ってなじませる
シロダーラ額に流し続ける
シローヴァスティ頭の上に溜めておく

この3つの中では、シローヴァスティが最も本格的なものとされます。

施術者のもとで行われる処置で、自宅で行うものではありません。

ネートラタルパナ(目をギーで満たす)

ネートラタルパナ(Netra Tarpaṇa)は、小麦粉などで目のまわりに土手を作り、その中を温めたギーで満たして、しばらく目を開閉するケアです。

目はアーローチャカ・ピッタの座とされ、熱と乾きの影響を受けやすい部位と考えられています。

目の疲れや乾きの文脈で行われてきました。

施術者のもとで行われるもので、家庭で行うものではありません。

カルナプーラナ(耳に油を満たす)

カルナプーラナ(Karṇa Pūraṇa)は、温めたオイルを耳に数滴入れる、あるいは耳の周りに塗るケアです。

ディナチャリヤの日課の一つとして、古典に挙げられています。

耳はヴァータの座の一つとされ、乾燥や冷えの影響を受けやすい部位と考えられてきました。

全身のケアが難しい日でも、耳と足裏だけは行うという形がよく紹介されます(足裏のケアはパーダビヤンガ)。

炎症や鼓膜に問題がある場合は、行わないこととされています。

不安があるときは、自己判断せずに医療機関や専門家に相談してください。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

スネハナとは何ですか?

油を用いる処置の総称で、パンチャカルマの前処置(プールヴァカルマ)として行われます。体の内側からギーなどを決められた量で数日にわたって摂るものと、外側からアビヤンガなどを行うものがあります。

なぜ排出の前に油を使うのですか?

組織にとどまったアーマや過剰なドーシャを油でゆるめ、動かせる状態にするためです。この準備なしに排出だけを行っても負担が大きいとされ、温めて発汗を促すスエダナと組にして行われます。

カティバスティやジャーヌバスティは浣腸のバスティと同じものですか?

別の処置です。名前のバスティは容器を意味しており、腰や膝の周りに小麦粉などで土手を作って油を溜める方法を指します。腰に行うものがカティバスティ、膝に行うものがジャーヌバスティ、首に行うものがグリーヴァーバスティです。

シローヴァスティやネートラタルパナは自宅でできますか?

できません。どちらも施術者のもとで行われる処置で、家庭で行うものではありません。