ハーブ・生薬アーユルヴェーダの代表ハーブ10選|性質と伝統的な使われ方
アーユルヴェーダで用いられてきた代表的なハーブ10種を、性質・ドーシャへの働き・伝統的な使われ方で整理しました。アシュワガンダ、トリファラ、ターメリックなど、名…
Trikaṭu / त्रिकटु
Definition
乾燥ショウガ(シュンティ)・黒こしょう(マリチャ)・長こしょう(ピッパリ)の3つの辛味スパイスを等量で合わせた、消化の火を焚きつけるとされるアーユルヴェーダの代表的な配合。
この項目のポイント
お腹が空かないまま、時間だけ来てなんとなく食べている。
食べたあと、いつまでも胃に重さが残る。
冷える季節になると、体全体がもったりと動きにくい。
そんなとき、生姜湯や黒こしょうをきかせたスープが、なぜか体に合う気がする。
その感覚は、たぶん外れていません。
アーユルヴェーダでは、こうした状態を消化の火が弱っているサインとして捉えてきました。
そして、弱った火に薪をくべる役として、辛くて温かいスパイスを3つ組み合わせてきました。
それがトリカトゥです。
トリカトゥ(Trikaṭu)とは、サンスクリット語で「3つの辛いもの」を意味する配合ハーブです。
乾燥ショウガ(シュンティ)、黒こしょう(マリチャ)、長こしょう(ピッパリ)という3つの辛味スパイスを、伝統的にはほぼ等量で合わせて作られます。
3つの果実からなるトリファラと対で語られることも多い、アーユルヴェーダの基本配合の一つです。
3つはどれも辛味と温める性質を持ちますが、得意とする方向が少しずつ違います。
| 素材 | 正体 | 伝統的な位置づけ |
|---|---|---|
| シュンティ | 乾燥させた生姜 | 消化を支える万能薬として古典で高く評価 |
| マリチャ | 黒こしょう | カパを減らし、ほかの素材を届きやすくする |
| ピッパリ | 長こしょう(ヒハツ) | アグニを強め、呼吸器の養生にも登場 |
生姜が土台の火をつくり、黒こしょうが勢いを足し、長こしょうがほかの素材の働きを支える。
3つを合わせることで、一つの素材より偏りの少ない温め方になると考えられてきました。
トリカトゥの役割を一言でいえば、アグニ(消化の火)を焚きつけることです。
アグニが弱ると、食欲がわかない、食後に重さが残る、そして未消化物のアーマがたまりやすくなる、とアーユルヴェーダは考えます。
3つの辛味は、弱った火に薪をくべるように働くとされます。
食欲と消化の勢いを支える配合として、古典の時代から使われてきました。
同じ三位一体の配合でも、方向性は対照的です。
トリファラは、穏やかに整えて排出を助ける、いわば掃除の配合とされます。
トリカトゥは、温めて燃やす、いわば火を強める配合とされます。
体を温める性質から、重く冷たいカパが高まりやすい寒い季節や、朝の重だるさの文脈で登場することが多いのも特徴です。
シュンティ(Śuṇṭhī)は、生姜を乾燥させたものです。
生の生姜(アールドラカ)とは、性質の異なるものとして扱われます。
乾燥させたものは、生より温める力が強いとされます。
辛味と温める性質を持ち、アグニを強めてアーマを減らす方向に働くとされます。
古典では、ヴィシュヴァベーシャジャ(万能薬)と呼ばれるほど高く評価されてきました。
カパの停滞、つまり重さや滞りが気になる場面で用いられてきた素材です。
マリチャ(Marica)は、黒こしょうのことです。
強い辛味と温める性質を持ち、カパを減らし、消化を助けるとされます。
ほかの素材の働きを体に届きやすくする役割も担うとされます。
ターメリックと組み合わせる使い方は、その代表例として広く知られています。
刺激が強いため、ピッタが増えているときは控えめにするのが伝統的な扱いです。
ピッパリ(Pippalī)は、長こしょうのことで、日本ではヒハツの名前でも知られます。
黒こしょうと同じコショウの仲間ですが、別の素材です。
辛味と温める性質を持ち、アグニを強め、カパを鎮める方向に働くとされます。
呼吸器の養生の文脈でも用いられてきました。
ほかのハーブの働きを助ける素材としても位置づけられ、少量を組み合わせる使い方が伝統的です。
インドの家庭では、はちみつと合わせる、食事のスパイスとして使う、などの形で取り入れられてきました。
日本でもパウダーやサプリメントとして手に入ります。
配合を買わなくても、温かいスープに生姜と黒こしょうを少しきかせるだけで、考え方はそのまま台所に持ち込めます。
刺激と熱の強い配合です。
体に熱がこもりやすい方(ピッタ体質)や胃腸が敏感な方、痔や胃炎などがある方には合わない場合があるとされます。
摂り方は製品の表示に従ってください。
妊娠中・授乳中の方や、持病があって薬を飲んでいる方は、自己判断で始めずに医師や専門家に相談してください。
本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。
トリカトゥとは何ですか?
サンスクリット語で3つの辛いものを意味する配合ハーブで、乾燥ショウガ(シュンティ)、黒こしょう(マリチャ)、長こしょう(ピッパリ)をほぼ等量で合わせたものです。アーユルヴェーダではトリファラと並んで広く知られる基本の配合です。
トリカトゥはどんなときに使われてきましたか?
アグニ(消化の火)が弱く、食欲がわかない、食後に重さが残るといった状態の支えとして伝統的に用いられてきました。体を温める性質から、重く冷たいカパが高まりやすい季節の養生の文脈でも登場します。
乾燥生姜と生の生姜は違うものですか?
性質が異なるものとして扱われます。乾燥させたシュンティは生の生姜より温める力が強いとされ、カパの停滞に用いられてきました。
黒こしょうとピッパリ(ヒハツ)の違いは何ですか?
どちらもコショウ科ですが別の素材です。どちらも辛味と温める性質を持ちますが、ピッパリは他のハーブの働きを助ける素材としても位置づけられ、少量を組み合わせる使い方が伝統的です。
トリカトゥの注意点はありますか?
温めて刺激する性質が強い配合のため、体に熱がこもりやすい方(ピッタ体質)や胃腸が敏感な方には合わない場合があるとされます。摂り方は製品の表示に従い、妊娠中・授乳中の方や持病・服薬中の方は事前に医師や専門家へ相談してください。