アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
ドーシャ・体質

ヴィクリティ

Vikṛti / विकृति

Definition

生まれ持った体質から今どれだけずれているかをあらわす、現在の状態のこと。

この項目のポイント

  • ヴィクリティは、生まれ持った体質(プラクリティ)から今どれだけずれているかを示す現在の状態
  • 季節・年齢・時間帯・食事や生活によって日々動く
  • 体質診断の結果は、多くの場合いまのヴィクリティを映している

いつもの自分と、今の自分

本当はのんびりした性格なのに、最近はなぜか焦ってばかりいる。

もともと胃腸は強いはずなのに、この季節だけは調子を崩す。

いつもの自分と今の自分が違う、という感覚は、多くの人が持っています。

そのずれを、アーユルヴェーダはきちんと別の名前で呼んできました。

それがヴィクリティです。

ヴィクリティとは

ヴィクリティ(Vikṛti)は、いまの体の状態を指します。

生まれ持った体質であるプラクリティに対して、季節・年齢・生活・食事によって変化した、現在のバランスのことです。

サンスクリット語では「変化したもの」「本来の姿から離れたもの」を意味し、古典では病的な変化そのものを指す言葉としても使われます。

体質と対にして、今の状態という意味で使う整理は、現代のアーユルヴェーダの解説で広く用いられているものです。

プラクリティとの違い

プラクリティヴィクリティ
指すもの生まれ持った本来のバランス今その時のバランス
決まる時期受胎のとき日々動く
変わるか基本的に変わらない季節や生活で変わる
向き合い方知って付き合う本来の側へ戻していく

アーユルヴェーダの見立ての要点は、本来の割合からどれだけずれているかを見ることにあります。

同じ症状でも、もともとヴァータが多い人と、いまだけヴァータが増えている人では、必要な調整が変わります。

ヴィクリティを動かすもの

ヴィクリティは、毎日少しずつ動いています。

動かすものは、いくつかあります。

季節は、その代表です。

乾いて冷える時期にはヴァータ、暑い時期にはピッタ、湿って重い時期にはカパが増えやすいとされ、季節ごとの過ごし方はリトゥチャリヤとしてまとめられています。

年齢も、ゆっくりとヴィクリティを動かします。

さらに、食べたもの、眠った時間、抱えている心配ごとが、日単位でバランスを揺らします。

生まれ持って多いドーシャほど、さらに増えやすい傾向があるともいわれます。

ヴァータ優位の人が、忙しさの中でさらにヴァータを乱しやすい、というのがその例です。

ずれの向きと深さ

ヴィクリティを読むときは、どのドーシャが動いているかに加えて、向きと深さも見ます。

増えたのか減ったのかを分ける見方は、ヴリッディ・クシャヤと呼ばれます。

未消化物のアーマが絡んでいるかどうかは、サーマ・ニラーマとして区別されます。

ずれが小さいうちは、生活の小さな調整で戻りやすいとされます。

ずれが深まり、不調として形をとっていく道筋は、ニダーナの項で扱う病の成り立ちの考え方につながります。

体質診断の結果の受け取り方

体質診断で分かるのは、多くの場合いまのヴィクリティです。

疲れがたまっている時期に答えると、ヴァータ寄りの結果が出やすい、といったことが起こります。

結果が生まれつきの体質と違って見えても、それは診断の誤りというより、今の状態を正直に映していると受け取れます。

時期を変えて何度か答えてみると、自分の本来の傾向と、今のずれの両方が見えてきます。

判断に迷うときや、体調の不安が続くときは、専門家や医療機関に相談してください。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

ヴィクリティとは何ですか?

いまの体の状態を指します。生まれ持った体質であるプラクリティに対して、季節・年齢・生活・食事によって変化した現在のバランスのことです。

体質診断で分かるのはどちらですか?

多くの場合いまのヴィクリティです。生まれつきの体質そのものではなく、今の傾向として受け取るのが適切な使い方とされます。時期をあけて答え直すと結果が変わることがあるのも、このためです。

ヴィクリティがあるのは悪いことですか?

そうではありません。季節や年齢によってバランスが動くのは自然なことで、誰にでもヴィクリティはあります。大切なのは、どちらにどれくらい動いているかを知って、早めに戻す方向を選ぶことだとされます。