アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
施術・トリートメント

バスティ

Basti / बस्ति

Definition

薬用の浣腸を用いる処置。ヴァータの治療としてもっとも重要とされることが多い。

この項目のポイント

  • バスティは薬用のオイルや煎じ液を注入する浣腸の処置で、パンチャカルマの5つの処置の一つ
  • ヴァータの座とされる大腸に直接届くため、チャラカ・サンヒターでは治療の半分とまで言われる
  • 煎じ液を中心とするニルーハと、オイルを用いるアヌヴァーサナの2つが基本形
  • カティバスティやシローヴァスティは名前が似ているが、体の外側にオイルを溜める別の処置
  • 医師の診断と管理のもとで行われる処置で、家庭で行うものではない

冷えるとお腹が張る方へ

冷えた日や、移動が続いた日に、お腹が張ってガスがたまる。

体の下のほうが落ち着かないと、気持ちまでそわそわしてくる。

アーユルヴェーダでは、こうした状態を、動きと乾きの性質を持つヴァータの乱れとして捉えてきました。

そして、そのヴァータに向けたもっとも重要な処置として、バスティを位置づけてきました。

バスティとは

バスティ(Basti)とは、薬用のオイルや煎じ液を肛門から注入する、浣腸の処置です。

日本語では浣腸法と訳されます。

本格的な浄化法であるパンチャカルマの5つの処置の一つに数えられます。

バスティという言葉は、もともと膀胱を意味します。

古い時代、動物の膀胱を袋として使い、液を注入していたことに由来するとされます。

インドなどのアーユルヴェーダの医療機関で、医師の診断と管理のもとに行われる処置であり、自分で試すものではありません。

治療の半分と呼ばれる理由

チャラカ・サンヒターでは、バスティは治療の半分にあたる、とまで言われています。

ヴァータの主要な座は大腸にあるとされ、バスティはそこに直接届く処置です。

排出を担うアパーナ・ヴァーユの働きに、もっとも近い場所から働きかけると考えられてきました。

さらにヴァータは、3つのドーシャのうち、ほかの2つを動かす役を担うとされます。

動かす役のヴァータを整えることが、全体を整えることにつながる。

バスティが特別に重く扱われてきたのは、この考え方があるからです。

2つの基本形

バスティは、注入するものによって大きく2つに分けられます。

名前注入するもの位置づけ
ニルーハ・バスティ煎じ液に、はちみつ・岩塩・油などを合わせたもの排出を促す
アヌヴァーサナ・バスティ薬用オイル潤し、養う

ニルーハはアースターパナとも呼ばれます。

2つを交互に組み合わせて行う組み方があり、回数の違いによってカルマ・バスティ、カーラ・バスティ、ヨーガ・バスティといった名前で呼ばれます。

少量のオイルで行う穏やかな形はマートラー・バスティと呼ばれ、古典では比較的幅広い人に用いられるとされています。

どの形も、医師が体質と状態を見て選ぶものです。

同じ名前を持つ別の手当て

アーユルヴェーダには、バスティの名前を含むのに、浣腸とはまったく違う手当てもあります。

腰に生地で土手を作ってオイルを溜めるカティバスティ、膝に溜めるジャーヌバスティ、頭に筒を固定して溜めるシローヴァスティです。

これらは、液を溜めておく器という意味でバスティの名前を借りた、体の外側からの処置です。

また、膀胱そのものは、守るべき3つの大きな急所(マルマ)の一つにも数えられています。

受けるときの心構え

バスティは、前処置でオイルと温熱を用いて体を整えてから行われます。

体力が極端に落ちているとき、妊娠中、下痢が続いているときなどは、避けるべき場合があるとされます。

量・素材・回数はすべて医師の判断で決められ、家庭で行うものではありません。

日々の暮らしでヴァータが気になるときは、体を冷やさない、温かく油分のある食事をとる、生活のリズムを整える、といった養生のほうが入り口として取り入れやすいものです。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

バスティとは何ですか?

薬用のオイルや煎じ液を用いる浣腸の処置です。パンチャカルマの5つの処置の一つに数えられます。

なぜバスティが重視されるのですか?

ヴァータの主要な座は大腸にあるとされ、アパーナ・ヴァーユの働きに直接作用すると考えられているためです。ヴァータの治療としてもっとも重要とされることが多い方法です。

種類はありますか?

オイルを用いるものと煎じ液を用いるものがあり、目的によって使い分けられます。いずれも医師の管理下で行われる処置で、家庭で行うものではありません。

カティバスティとバスティは同じものですか?

別のものです。カティバスティは腰に生地で土手を作って温かいオイルを溜める、体の外側からの処置です。液を溜める器という意味でバスティの名前を借りています。