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理論・概念

ナヴァグラハ

Navagraha / नवग्रह

Definition

インドの伝統で数えられる9つのグラハ(天体)の総称。太陽・月・5惑星と、2つの計算上の点からなる。

この項目のポイント

  • ナヴァグラハはナヴァ(9)とグラハ(掴むもの・天体)を合わせた語
  • 太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星に、ラーフとケートゥを加えた9つ
  • ラーフとケートゥは実在の天体ではなく、月の軌道が交わる計算上の点
  • 日本の曜日や九曜の名前にも、同じ天体の並びが受け継がれている

ナヴァグラハとは

日曜日から土曜日まで、日・月・火・水・木・金・土と並ぶ曜日の名前を、毎日のように使っています。

この並びがインドの9つの天体と同じ根を持つと知ると、遠い国の話が少し身近に感じられるはずです。

ナヴァグラハ(Navagraha)は、インドの伝統で数えられる9つのグラハの総称です。

ナヴァ(nava)は9、グラハ(graha)は掴むものを意味します。

天体そのものというより、運行を観察して時を測るための基準点として扱われてきた語です。

ジョーティシュ(インドの天文暦法)の中心にある考え方で、12のラーシや27のナクシャトラの上をグラハがどう動くかが、暦や日取りの基準になってきました。

9つの内訳

グラハ対応する天体
スーリヤ(Sūrya)太陽
チャンドラ(Candra)月
マンガラ(Maṅgala)火星
ブダ(Budha)水星
グル/ブリハスパティ(Guru / Bṛhaspati)木星
シュクラ(Śukra)金星
シャニ(Śani)土星
ラーフ(Rāhu)月の軌道の交点(北)
ケートゥ(Ketu)月の軌道の交点(南)

ラーフとケートゥは実在の天体ではありません。月の軌道と太陽の見かけの軌道が交わる2つの点を指し、影のグラハと呼ばれることもあります。この付近で日食・月食が起こることから、古くから観察の対象となってきました。

肉眼で見える天体と、その運行から導かれる点だけで構成されているため、天王星・海王星・冥王星は伝統的な9つには含まれません。

なぜ掴むものと呼ぶのか

グラハという語には、捕らえる、掴むという意味があります。

天体が地上の出来事や人に働きかけ、それを捕らえるものと考えられてきたことから、この名で呼ばれるようになったと説明されます。

同じ語は、古い文献では子どもや人を捕らえる悪霊を指すこともありました。

天文の語であると同時に、目に見えない働きかけを表す言葉だったことがうかがえます。

ラーフとケートゥの神話

ラーフとケートゥには、よく知られた神話があります。

神々と魔族が海をかき混ぜて不死の甘露アムリタを得たとき、一人の魔族が神々にまぎれて甘露を口にしました。

それを太陽と月が見破り、ヴィシュヌ神がその首を切り落とします。

すでに甘露を飲んでいたため首も胴も死なず、首がラーフ、胴がケートゥになったと語られます。

ラーフは恨みから太陽と月を追いかけて飲み込み、そのたびに日食と月食が起こる。

天文の観察と神話が、こうして一つの物語に結ばれてきました。

日本に伝わったナヴァグラハ

ナヴァグラハの考え方は、仏教とともに中国を経て日本にも伝わりました。

日本では九曜と呼ばれ、ラーフは羅睺(らごう)、ケートゥは計都(けいと)と訳されています。

中心の円を8つの円が囲む九曜紋という家紋も、この9つの天体に由来するとされます。

曜日の名前のもとになった七曜も、9つのうち太陽・月と5つの惑星を指す呼び名です。

インドの寺院では、9つのグラハの像を一か所にまとめて祀る場が設けられていることも多く、今も信仰の中に生きています。

アーユルヴェーダとの接点

伝統の中には、グラハとドーシャを対応づける記述が見られます。たとえば太陽や火星をピッタ、土星をヴァータ、月や木星をカパに結びつけるような整理です。

ただしこの対応は文献によって異なり、統一されていません。アーユルヴェーダの診断や養生がこの対応にもとづいて行われるわけでもありません。アーユルヴェーダの側は、体つき・消化・睡眠・肌といった観察できる要素から体質を捉える立場をとります。

9つの宝石をグラハに対応させるナヴァラトナという考え方も、この体系から派生したものです。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、運勢や吉凶を判断するものではありません。また医学的な診断・治療を目的とするものでもありません。

FAQよくある質問

ナヴァグラハとは何ですか?

インドの伝統で数えられる9つのグラハの総称です。ナヴァ(nava)は9、グラハ(graha)は掴むものを意味します。太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の7つに、ラーフとケートゥという2つの点を加えた構成になっています。

ラーフとケートゥは何ですか?

月の軌道と太陽の見かけの軌道が交わる2つの点を指します。実在する天体ではなく計算上の点で、影のグラハと呼ばれることもあります。この2点の付近で日食や月食が起こるため、古くから注目されてきました。

天王星や海王星は含まれませんか?

伝統的なナヴァグラハには含まれません。この9つは肉眼で観察できる天体と、その運行から計算される点で構成されており、望遠鏡以降に発見された天体は古典の体系の外にあります。