アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
理論・概念

ラトナ

Ratna / रत्न

Definition

宝石を意味するサンスクリット語。インドの伝統では天体との対応や装身具の文脈で語られ、アーユルヴェーダの養生には含まれない。

宝石と健康のことで調べてきた方へ

インドの宝石が体にいいらしい。

そう聞いて調べている方が、このページに来ることがあります。

最初に答えを書きます。

その考え方はアーユルヴェーダのものではありません。

インドにはいくつもの伝統があり、宝石を扱うのはそのうちの別の一つです。

混ざって紹介されることが多いので、ここで分けておきます。

がっかりさせる話ではなく、探す場所が変わるという話です。

ラトナとは

ラトナ(Ratna)は、宝石を意味するサンスクリット語です。

転じて、価値あるもの、優れたものを指す語としても広く使われます。

人や書物に対する敬称に用いられることもあります。

どの伝統に属する言葉か

ラトナが体系的に語られるのは、主にジョーティシュの文脈です。

ジョーティシュはインドの天文・占星の伝統で、アーユルヴェーダとは別の体系にあたります。

9つのグラハそれぞれに一つの石を対応させたナヴァラトナがその代表です。

王侯の装身具や儀礼の品として、長く受け継がれてきました。

アーユルヴェーダとの距離

アーユルヴェーダの古典にも、鉱物を扱う記述は見られます。

ただしそれは、後代にラサシャーストラ(Rasaśāstra、錬金・鉱物学)としてまとめられていく分野に属するものです。

石を身につけることで体調を整えるという考え方とは別のものになります。

アーユルヴェーダの養生の中心にあるのは、食事、一日の過ごし方、季節の過ごし方、ハーブ、施術です。

宝石は、この体系の中に位置づけられていません。

分けて読むと、混乱が消える

インドの伝統を紹介する文章では、この二つがしばしば同じ枠で語られます。

どちらもインドのものなので、まとめて紹介したくなるのは自然なことです。

ただ、出どころが違うものを一つにすると、どちらの話も曖昧になります。

宝石の話を知りたいならジョーティシュの側を、体調を整える話を知りたいならアーユルヴェーダの側を見る。

この分け方だけで、読めるものがはっきりします。

身につけること自体を否定する話ではない

念のため書いておきます。

ここで線を引いているのは、宝石を健康法として説明できるかどうかという一点だけです。

長く受け継がれてきた文化であることも、好きなものを身につける価値があることも、別の話として残ります。

本項目は伝統文化の紹介であり、宝石の健康上の効果を主張するものではありません。医学的な診断・治療を目的とするものでもありません。

FAQよくある質問

ラトナとは何ですか?

宝石を意味するサンスクリット語です。転じて、価値あるもの、優れたものを指す語としても用いられます。インドの伝統の中では、9つのグラハに対応させたナヴァラトナの文脈で語られることが多い語です。

宝石を身につけると体にいいと聞きましたが本当ですか?

その考え方はジョーティシュという別の伝統に属するもので、アーユルヴェーダの養生法には含まれていません。アーユルヴェーダが扱うのは食事、一日の過ごし方、ハーブ、施術です。石を身につけることで体調が整うという説明は、アーユルヴェーダの側からは出てきません。

アーユルヴェーダに宝石を使う療法はありますか?

古典の中に鉱物を扱う記述はありますが、これは後代のラサシャーストラ(錬金・鉱物学)と呼ばれる分野に属するもので、装身具として宝石を身につける考え方とは別のものです。

では宝石を身につけるのは意味がないということですか?

そういう話ではありません。文化として長く受け継がれてきたものですし、好きなものを身につけることの価値はまた別にあります。ここで分けているのは、それを健康法として説明できるかどうかという点だけです。

ナヴァラトナとは何ですか?

9つのグラハ(天体)それぞれに一つの石を対応させた組み合わせです。王侯の装身具や儀礼の品として長く受け継がれてきました。詳しくはナヴァラトナのページにまとめています。