コーシュタとプラクリティは、似た響きの言葉として混同されがちです。

体質診断で「カパ優位」と出た人が、その響きから便秘とは無縁のはずと思い込んでしまうことがあります。

しかしアーユルヴェーダでは、この2つは別々の分類軸として扱われてきました。

プラクリティが指すもの

プラクリティは、体格・肌質・性格・消化の傾向までを含めた、生まれ持った体質全体を指す言葉です。

ヴァータ・ピッタ・カパの3つのドーシャの組み合わせによって決まるとされます。

生涯ほぼ一定とされます。

体質診断が測ろうとしているのは、こちらの分類です。

コーシュタが指すもの

一方、コーシュタは、消化管の性質、なかでも排便のしやすさに絞った分類です。

便が硬く出にくいクルーラ、軟らかく出やすいムリドゥ、その中間のマディヤマの3つに分けられるとされます。

コーシュタの3つの分類
クルーラ便が硬く、出にくい
マディヤマその中間
ムリドゥ便が軟らかく、出やすい

体格や性格までは含みません。

何が違うのか

観点を並べると、次のようになります。

プラクリティとコーシュタは、見ているものが違う

プラクリティとコーシュタの違いの一覧
観点プラクリティ(体質)コーシュタ(消化管)
指すもの体格・性格まで含む心身全体の傾向排便のしやすさに絞った性質
変わりやすさ生涯ほぼ一定とされる加齢や食事である程度変わるとされる
主に使われる場面体質診断・生活養生の方向づけ浄化療法の強さの目安

同じ人でも、体質のドーシャ優位とコーシュタのドーシャ優位が一致するとは限らない

プラクリティとコーシュタの違い。測っている対象が異なる

ずれが起こる理由

プラクリティは心身全体を対象にした分類です。

コーシュタは消化管、特に排便という一点に絞った分類です。

対象にしている範囲が違うため、同じ人の中でも両者の優位なドーシャが一致するとは限らないとされます。

カパ優位のプラクリティを持つ人が、消化管の性質としてはクルーラ寄りということもあり得るわけです。

浄化療法での使われ方

コーシュタが実際に意味を持つ場面は、日常の体質判断よりも、ヴィレーチャナやヴァマナといった浄化療法にあります。

これらは下剤や催吐薬を使って体内から不要なものを排出する処置です。

同じ量の薬でも、クルーラコーシュタの人には効きにくく、ムリドゥコーシュタの人には効きすぎることがあるとされます。

同じ量の薬でも効き方が変わる
クルーラ
  • 効きにくいことがある
ムリドゥ
  • 効きすぎることがある

だから薬の強さや量の目安として、コーシュタの見立てが記されてきた

そのため薬の強さや量を決める目安として、コーシュタの見立てが古典に記されてきたとされます。

実践でどう向き合うか

体質タイプだけを手がかりに、消化や便通の状態まで決めつけないことが大切です。

自分のプラクリティがカパ優位だからといって、便通の観察を省いてよいわけではありません。

反対にヴァータ優位のプラクリティを持つ人が、実は下剤への反応が穏やかということもあり得ます。

普段の排便のリズムや便の状態は、体質タイプとは別に観察しておく価値があります。

体質タイプと便通は別々に見る
自分の体を見る2本の軸
体質生まれ持った心身全体の傾向
便通排便のリズムと便の状態

下剤の強さや浄化療法の判断は、専門家に委ねる領域

下剤の強さの判断や浄化療法の適用そのものは、自己判断で行うものではなく、専門家に委ねる領域です。

本記事は伝統医学であるアーユルヴェーダの考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。便通や体調に不安があるときは、医師や専門家にご相談ください。