施術・トリートメント浄化法は季節で選ぶ 春はヴァマナが基本
パンチャカルマの5つの処置は、実は季節ごとに向くとされるものが古典的に決まっています。春はヴァマナ、雨季はバスティ、秋はヴィレーチャナという対応を、なぜその季節…
Virecana / विरेचन
Definition
パンチャカルマの処置の一つで、下部からの排出を行うもの。ピッタの過剰に用いられるとされる。
この項目のポイント
夏が過ぎても、体の中に熱が残っている気がする。
肌が赤くなりやすい、胸やけがする、いらいらが抜けない。
そんな秋口に、あっさりしたものや苦みのあるものが欲しくなるのは、体の自然な感覚です。
アーユルヴェーダでは、こうした熱をピッタの性質として捉えてきました。
そして、たまりすぎたピッタを体の下の出口から外へ出す処置として、ヴィレーチャナを伝えてきました。
ヴィレーチャナ(Virecana)とは、下剤にあたる薬草や油を用いて、腸からの排出を促す処置です。
日本語では瀉下法(しゃげほう)と訳されます。
本格的な浄化法であるパンチャカルマを構成する5つの処置の一つで、その中でも比較的よく用いられる方法とされています。
医師の診断と管理のもとで行われる医療的な処置であり、自分で試すものではありません。
アーユルヴェーダでは、ドーシャごとに、外へ出すのに向いた出口があると考えます。
ピッタは消化の熱を担うドーシャで、その働きの中心は小腸のあたりにあるとされます(パーチャカ・ピッタ)。
その場所に近い下の出口から出すのが理にかなう、という考え方です。
チャラカ・サンヒターでも、ヴィレーチャナはピッタを除くのにもっとも優れた処置として挙げられています。
ヴィレーチャナは、秋に行われることが多いと記されています。
雨季のあいだにたまったピッタが、日差しの強まる秋に高まると考えられてきたからです。
季節ごとの養生を説くリトゥチャリヤの考え方と、深く結びついた処置といえます。
ヴィレーチャナは、薬を飲む当日だけで終わる処置ではありません。
前後の工程まで含めて、一つの処置と考えられています。
まず、ギーなどの油を数日かけて内服し、外からはアビヤンガやスエダナで体を温めます。
これがスネハナを中心とした前処置で、体の奥にあるドーシャを腸のほうへ動かす準備とされます。
当日は、医師が選んだ薬草や油を内服し、排出を待ちます。
薬の強さは、その人の腸の傾向(コーシュタ)によって変えるとされます。
おなかが緩みやすい人には穏やかなもの、出にくい人には強めのもの、という考え方です。
終わったあとは、重湯から粥へと段階的に食事を戻していく回復期を置きます。
排出のあとは消化の力(アグニ)が弱っているとされ、それをいたわりながら日常へ戻すための期間です。
ヴィレーチャナに用いる素材は、古典に数多く記されています。
穏やかなものとしては、3つの果実を合わせたトリファラがよく知られています。
そして、昔から代表的な素材の一つに数えられてきたのがヒマシ油です。
ヒマシ油(Eraṇḍa Taila)は、トウゴマの種子から採れる油です。
サンスクリット語では、トウゴマをエランダと呼びます。
日本でも、昔から下剤として名前の知られてきた油です。
アーユルヴェーダでは、ヴァータを鎮めながら下方向へ働くとされ、ヴィレーチャナで用いられる代表的な素材とされています。
そのため、ピッタだけでなく、ヴァータが関わる状態の排出の文脈でも名前が挙がります。
内服とは別に、関節のこわばりなどの文脈で、外から用いる形が語られることもあります。
ただし、内服には量と適否の判断が必要とされ、伝統的にも医師の管理のもとで用いられてきたものです。
妊娠中は避けるべきものとされます。
市販品が手に入るからといって、自己判断で飲むものではありません。
ヴィレーチャナは、下剤でおなかをすっきりさせる健康法とは別物です。
前処置で準備を整え、体質と状態を見極めたうえで、医師が薬と量を決めます。
その後の回復期まで含めて、はじめて一つの処置になります。
日々の暮らしでピッタの熱が気になるときは、苦みや甘みのある食べものを選ぶ、暑い時間に無理をしない、といった養生のほうが入り口として取り入れやすいものです。
本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。
ヴィレーチャナとは何ですか?
下剤にあたる薬草や油を用いて、腸からの排出を促す処置です。パンチャカルマの5つの処置の一つで、日本語では瀉下法と訳されます。
なぜ秋に行われることが多いのですか?
雨季にたまったピッタが、秋に高まると考えられてきたためです。季節の巡りに合わせて、増えたドーシャをその季節に外へ出すという組み立てです。
ヒマシ油は自分で飲んでもよいものですか?
内服には量と適否の判断が必要とされ、伝統的にも医師の管理のもとで用いられてきたものです。妊娠中は避けるべきものとされ、自己判断での使用は想定されていません。
処置のあとはどうしますか?
重湯から粥へと段階的に食事を戻す回復期を置きます。排出のあとは消化の力が弱っているとされるため、その期間も含めて一つの処置と考えられています。