アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
施術・トリートメント

ヴァマナ

Vamana / वमन

Definition

パンチャカルマの処置の一つで、上部からの排出を行うもの。カパの過剰に用いられるとされる。

この項目のポイント

  • ヴァマナは薬草で嘔吐を促し、胃から胸にたまったカパを外へ出す、パンチャカルマの処置の一つ
  • カパが高まるとされる春に行われることが多く、下からピッタを出すヴィレーチャナと対になる
  • 油の内服とスエダナによる前処置から、食事を段階的に戻す回復期までが一つの処置とされる
  • 医師の診断と管理を前提とする医療的な処置で、自分で吐く行為とは別物

春先の重だるさに

春が近づくと、体がもったりと重く、鼻や喉に粘りが残る。

眠気が抜けず、頭まですっきりしない。

冬のあいだにたまったものが、暖かくなってゆるみ出すような感覚です。

アーユルヴェーダでは、この重さと粘りをカパの性質として捉えてきました。

そして、春に高まるカパを体の上の出口から外へ出す処置として、ヴァマナを伝えてきました。

ヴァマナとは

ヴァマナ(Vamana)とは、薬草を用いて嘔吐を促し、胃から胸のあたりにたまったカパを外へ出す処置です。

日本語では催吐法と訳されます。

本格的な浄化法であるパンチャカルマを構成する5つの処置の一つです。

医師の診断と管理を前提とする医療的な処置であり、自分で試すものではありません。

カパと上の出口

アーユルヴェーダでは、カパの働きの中心は胃から胸にかけての上半身にあるとされます。

そこに近い上の出口から出すのが理にかなう、という考え方です。

チャラカ・サンヒターでも、ヴァマナはカパを除くのにもっとも優れた処置として挙げられています。

下の出口からピッタを出すヴィレーチャナとは、ちょうど対になる処置です。

季節では春に行われることが多いと記されています。

冬にたまったカパが、春の暖かさでとけ出して高まると考えられてきたからです(ヴァサンタ・リトゥ)。

準備から回復までの流れ

ヴァマナは、当日の処置だけで終わるものではありません。

まず、ギーなどの油を数日かけて内服するスネハナと、温めて発汗を促すスエダナで体を準備します。

前日には、カパを動かしやすくするとされる食事をとります。

当日の朝、乳やヤシュティマドゥの煎じ液などを十分に飲んだうえで、医師が選んだ催吐の薬草を用います。

古典では、マダナパラという果実が代表的な素材として記されています。

医師は出てきたものの様子を見ながら、どこで終えるかを見極めます。

終わったあとは、重湯から粥へと段階的に食事を戻していく回復期が設けられます。

排出のあとは消化の力(アグニ)が弱っているとされ、それをいたわるための期間です。

自分で吐くこととは別物

ヴァマナは、医師が準備から回復期まで管理する一連の処置です。

自分で吐く行為や、吐くことを習慣にする健康法とはまったく別のものです。

ヨーガの浄化法であるシャットカルマにも水を使う方法がありますが、目的も体系も異なり、こちらも指導者のもとで行うものとされます。

古典でも、体力の落ちている人、高齢の方、子ども、妊娠中の方などには行わないものとされています。

日本でリラクゼーションとして提供される施術とは、性質がまったく異なります。

日々の暮らしでカパの重さが気になるときは、軽く温かい食事にする、朝に体を動かす、といった養生が入り口になります(ランガナ)。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

ヴァマナとは何ですか?

パンチャカルマを構成する5つの処置の一つで、上部からの排出を行うものです。

どんなときに選ばれますか?

主にカパの過剰に対して選ばれるとされます。冬にたまったカパが高まる春に行われることが多いと記されています。

自分で試せるものですか?

できません。医師の診断と管理を前提とする医療的な処置であり、日本でリラクゼーションとして提供される施術とは性質が異なります。