食事・食養生同じ食材でも合う・合わないが分かれる理由|3つの見分け方
体にいいと言われる食材なのに、自分には合わない気がする。そう感じたときに整理したい3つの視点、素材そのものの働き・食べ合わせ・個人の慣れを、アーユルヴェーダの考…
Viruddha Āhāra / विरुद्ध आहार
Definition
組み合わせると消化に負担がかかるとされる、不適合な食べ合わせのこと。
この項目のポイント
牛乳を飲んだあとに果物を食べたら、お腹がごろごろした。
どちらも好きなのに、一緒にとると決まって重くなる組み合わせがある。
そう感じたことがあるなら、それは気のせいではないのかもしれません。
アーユルヴェーダには、食べ合わせの相性を正面から扱う考え方があります。
それがヴィルッダ・アーハーラです。
ヴィルッダ・アーハーラ(Viruddha Āhāra)は、それぞれは問題なくても、組み合わせると消化に負担がかかるとされる食べ合わせを指します。
ヴィルッダは「反する、ぶつかり合う」という意味の言葉です。
食べものの性質どうしがぶつかると、アグニ(消化の火)が混乱し、未消化物のアーマが生じやすいと考えられてきました。
ヴィルッダ・アーハーラというと、食材の組み合わせの一覧を思い浮かべがちです。
けれどチャラカ・サンヒターは、もっと広い枠組みで不適合を整理しています。
組み合わせのほかに、量、時間、場所、調理法、食べる人の消化力や体質、食べる順序など、全部で18の観点が挙げられています。
主なものを並べると、次のようになります。
| 観点 | どんな不適合か | 例 |
|---|---|---|
| 組み合わせ | 食材の性質どうしがぶつかる | 牛乳と魚 |
| 量 | 割合が合わない | はちみつとギーを同じ量で合わせる |
| 調理 | 調理で性質が変わる | はちみつを加熱する |
| 温冷 | 温めるものと冷ますものを同時にとる | 熱いものと冷たいものを続けて口にする |
| 時間・季節 | 時季に合わない | 寒い季節に冷たく乾いたものを多くとる |
| 消化力 | 消化力に見合わない | 弱っているときに重いものを食べる |
食べものそのものが悪いのではなく、その場の条件と合っていない、という見方です。
同じ食材でも、誰が、いつ、どれだけ、どう調理して食べるかで、合う合わないが変わります。
古典的な例として、よく知られているものがあります。
どれも、性質の衝突が理由と説明されます。
たとえば牛乳は甘く冷ます性質、魚は温める性質を持つとされ、正反対の性質が同時に入ることで消化が乱れると考えられています。
ダーヒ(ヨーグルト)を夜に食べることや、温めて食べることを避けるとされるのも、同じ考え方の延長にあります。
ヴィルッダ・アーハーラの面白いところは、古典が例外も書き残している点です。
チャラカ・サンヒターには、よく体を動かす人、消化力が強い人、若く体力のある人、そして長く慣れ親しんだ食べ方であれば、合わない組み合わせでも害が出にくい、という趣旨の一節があります。
少量であれば問題になりにくい、とも読めます。
つまり、この考え方は禁止の一覧ではありません。
自分の体の状態と照らし合わせて使う、目安の物差しです。
現代の食生活では、避けきれない組み合わせもたくさんあります。
フルーツ入りのヨーグルトも、シーフードのクリームパスタも、すっかり定番の料理です。
だからこそ、全部をやめるより、次のくらいの距離感がちょうどよいとされます。
いちばん確かな物差しは、食べたあとの自分の体の感じです。
食べ方全体の作法はアーハーラの項目で、食材の性質の見方はラサの項目で扱っています。
本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。
ヴィルッダ・アーハーラとは何ですか?
それぞれは問題なくても、組み合わせると消化に負担がかかるとされる食べ合わせを指します。組み合わせだけでなく、食べる時間や量、調理の仕方が合わない場合も含めて考えられています。
日本の食い合わせと同じものですか?
よく似た発想ですが、別の体系です。日本の食い合わせは言い伝えとして広まったものが多いのに対し、ヴィルッダ・アーハーラは食材の性質(味・温冷・消化後の作用)が衝突するという理屈で古典に整理されています。
フルーツ入りのヨーグルトや牛乳は食べてはいけないのですか?
古典では牛乳と酸味のある果物は合わない組み合わせとされますが、禁止の一覧として扱う必要はありません。古典自身が、消化力の強さや慣れによって害が出にくいとしているためです。続けて摂りすぎない、体が重い日は控える、という程度の目安として使われることが多い考え方です。