アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
食事・食養生

アヌパーナ

Anupāna / अनुपान

Definition

ハーブや食べ物と一緒に摂る飲みもののこと。何と一緒に摂るかで働きが変わるとされる。

この項目のポイント

  • アヌパーナはハーブや食事と一緒に、またはあとに摂る飲みもので、合わせるもので働きの方向が変わるとされる
  • 牛乳・ギー・はちみつ・白湯などが代表的なアヌパーナとして使い分けられてきた
  • マートラー(適量)は、量を決まった数字ではなく、そのときの消化力に合わせて決めるという考え方
  • 古典には、胃の3分の1を食べ物、3分の1を水分、残りを空けておくという目安が示されている

何で飲むか、どれだけ食べるか

漢方薬は白湯で、と言われると、なんとなく納得する。

同じ食事でも、腹八分で止めた日のほうが体が軽い。

どちらも、多くの人が言われなくても感じていることです。

アーユルヴェーダは、この2つの感覚にそれぞれ名前をつけてきました。

何と一緒に摂るかがアヌパーナ。

どれだけ摂るかがマートラーです。

アヌパーナとは

アヌパーナ(Anupāna)は、ハーブや薬を摂るとき、また食事のときに、一緒に、あるいはあとに用いる飲みものを指します。

「あとに(アヌ)飲むもの(パーナ)」という語の成り立ちのとおり、主役を体に送り届ける添え役です。

何と一緒に摂るかで働きの方向が変わる、という考え方に基づいています。

同じ粉のハーブ(チュルナ)でも、何で流し込むかによって、届く先や強さが変わると考えられてきました。

代表的な組み合わせ

伝統的によく使われてきたアヌパーナを並べると、次のようになります。

アヌパーナ伝統的に考えられてきた方向
温めた牛乳滋養を強める
ギー体の深部へ運ぶ働きを助ける
はちみつ軽くする方向に導く
白湯消化を助ける

同じハーブでも、目的によってアヌパーナを変える。

この使い分けが、アーユルヴェーダの処方を細やかにしている要素の一つです。

たとえば体を養いたいときは牛乳、重さを取りたいときははちみつや白湯、という具合です。

はちみつを使うときは、加熱しないという原則もあわせて守られてきました。

食事のときのアヌパーナ

アヌパーナは、薬だけの話ではありません。

食事に添える飲みものも、アヌパーナにあたります。

食事中に飲む水については、伝統的によく知られた説明があります。

食事の前にたくさん飲むと体を細らせ、食後にたくさん飲むと太らせやすく、食事の途中に少しずつ飲むのがちょうどよい、というものです。

冷たい水は消化の火を弱めると考えられるため、白湯や常温の水が好まれてきました。

インドでは、食後に薄めたヨーグルトの飲みもの(タクラ)を添える習慣も、この流れで語られます。

マートラー(適量)

マートラー(Mātrā)は、量を指します。

アーユルヴェーダでは、何を食べるかと同じ重さで、どれだけ食べるかが扱われます。

チャラカ・サンヒターは、日々の養生を扱う章の冒頭で、人は適量を食べるべきだと述べ、その量は消化力によって決まるとしています。

つまり、適量は決まった数字ではありません。

同じ人でも、元気な日と疲れた日では、ちょうどよい量が変わります。

胃の3分の1を空けておく

具体的な目安として古典に示されているのが、胃を3つに分ける考え方です。

胃の中の割合満たすもの
3分の1食べ物
3分の1水分
3分の1空けておく

最後の3分の1は、ドーシャが動いて消化が進むための余白とされます。

日本の腹八分目という言葉とも、よく似た発想です。

重いものほど控えめに

量の考え方は、食べるものの性質によっても変わります。

古典では、重いものは満腹の半分ほどにとどめ、軽いものでも満腹まで食べすぎないのがよいとされています。

揚げものや肉のように重いものの日は、いつもより少し早めに箸を置く、という感覚です。

量を超えると

適量を超えた分は消化されず、未消化物(アーマ)になる、というのが一貫した説明です。

反対に少なすぎても、体を支える力が足りなくなると考えられています。

食事を意図して軽くする考え方は、ランガナの項目で扱っています。

2つを合わせて使う

アヌパーナとマートラーは、どちらもアグニを中心に置いた考え方です。

何で流し込むかを選び、どれだけ入れるかを消化力に合わせる。

この2つがそろうと、同じ食事やハーブでも体への届き方が変わる、と考えられてきました。

食べ方全体の作法は、アーハーラの項目にまとめています。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

アヌパーナとは何ですか?

ハーブや薬を摂るとき、または食事のときに一緒に用いる飲みものを指します。何と一緒に摂るかで働きの方向が変わるという考え方に基づいています。

食事中に水を飲んでもよいのですか?

アーユルヴェーダでは、食事の途中に少しずつ飲むのがよいとされてきました。食事の前に多く飲むと体を細らせ、食後にたくさん飲むと太らせやすいという伝統的な説明があります。冷たい水より、白湯や常温の水が好まれます。

適量はどうやって決めますか?

決まった数字ではなく、そのときのアグニ(消化力)で決まるとされます。目安として、胃の3分の1を食べ物、3分の1を水分で満たし、残り3分の1は空けておく、という考え方が古典に示されています。