アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
生活・養生

ニドラー

Nidrā / निद्रा

Definition

睡眠のこと。食事・性生活と並ぶ、生命を支える3つの柱の一つとされる。

この項目のポイント

  • ニドラーは睡眠のことで、食事・節度ある性生活と並ぶ三本柱の一つ
  • 古典は、幸せと苦しみ、力と弱さ、生と死までが眠りの良し悪しにかかっていると説く
  • 眠りの浅さはヴァータ、朝の重さや眠気の多さはカパと結びつけて説明される
  • 昼寝(ディヴァスワプナ)は原則として避けるべきとされ、夏や体力が落ちているときなどが例外になる

眠りが1日を決めていると感じている方へ

よく眠れた朝は、同じ仕事でも軽くこなせる。

眠りが浅かった日は、ささいなことで気持ちがささくれる。

多くの人が、眠りが体と心の土台になっていることを、すでに体で知っています。

その感覚は、アーユルヴェーダの古典にもそのまま書かれています。

ニドラーとは

ニドラー(Nidrā)は、睡眠を指すサンスクリット語です。

アーユルヴェーダでは、食事(アーハーラ)、睡眠(ニドラー)、節度ある性生活(ブラフマチャリヤ)が、生命を支える三本柱とされてきました。

健康な人が健康を保つための生活法(スワスタヴリッタ)の中でも、とくに土台にあたるものです。

古典が描く眠りの重さ

チャラカ・サンヒターは、幸せと苦しみ、体が養われるかやせ細るか、力と弱さ、知と無知、そして生と死までが、眠りの良し悪しにかかっていると説いています。

眠りは、休むための空白の時間ではありません。

体を養い、翌日の力をつくる働きそのものとして扱われています。

眠りが訪れるしくみ

古典では、心と感覚器官が1日の働きに疲れ、対象から離れたときに眠りが訪れると説明されます。

いくつかの種類の眠りが挙げられる中で、最もよいとされるのは、夜という時間の性質から自然に訪れる眠りです。

病気や疲れすぎ、重い食事のあとの眠気とは、区別して考えられています。

ドーシャと眠りの質

眠りの悩みは、ドーシャの偏りと結びつけて読まれます。

眠りの様子結びつけられるドーシャ伝統的な整え方の方向
寝つけない、浅い、何度も目が覚めるヴァータ温かさ、油分、決まった時刻
夜中に目が冴える、暑くて眠れないピッタ涼しさ、刺激を減らす
寝ても寝ても眠い、朝が重いカパ早起き、軽い夕食、朝の運動

夜は22時までに眠ることが望ましいとされ、寝る前の足へのオイルが助けになると伝えられてきました。

夜の過ごし方全体は、ディナチャリヤのラートリチャリヤにまとめています。

ディヴァスワプナ(昼寝)

ディヴァスワプナ(Divāsvapna)は、昼間にとる睡眠、いわゆる昼寝を指す言葉です。

ディヴァは昼、スワプナは眠りを意味します。

夜の眠りであるニドラーとは区別して扱われ、アーユルヴェーダでは原則として避けるべき習慣とされてきました。

なぜ避けるべきとされるのか

昼は、活動と消化にあてる時間帯とされます。

そこに、重く停滞する働きを持つ眠りが重なることを、伝統的にはよしとしません。

カパの性質(重さ・冷たさ・停滞)が強まり、消化の火であるアグニが弱まって、未消化物(アーマ)がたまりやすくなると説明されます。

昼寝のあとに頭がぼんやりしたり、体がかえって重くなったりする感覚は、この文脈で語られてきました。

古典の対比でいえば、夜更かしは体を乾かし、昼寝は体を重く湿らせる、と整理されます。

例外として認められる場合

すべての昼寝が否定されているわけではありません。

場面理由
夏の暑い時期暑さで体力と水分が消耗しやすく、夜も短くなるため
子どもや高齢の方、体力が落ちているとき体を支える力そのものが不足しているため
長い移動、重い仕事、夜通しの作業のあと消耗や睡眠不足を補う一時的な対応として

季節の養生(リトゥチャリヤ)でも、昼寝が許されるのは夏だけとされ、ほかの季節は避けるべきとされています。

いずれの場合も、短めにとどめることが望ましいとされます。

体質による向き不向き

もともと重く停滞しやすいカパ体質の人や、脂っこい食事をとったあとは、特に昼寝を避けるべきとされます。

一方、乾いて軽い性質を持つヴァータ体質の人は、例外が認められる場面で比較的向いているとされることもあります。

現代の短い仮眠の話と古典の考え方を並べた整理は、昼寝は体に悪いのかにまとめています。

日常の一手

眠りを良くしようと、特別なことを足す必要はありません。

まずは、寝る時刻をいつもより15分だけ早めてみる。

昼に眠くなったら、横になる前に少し歩いてみる。

そうした小さな調整が、夜にまとまって眠る流れを支えると考えられています。

眠れない状態や日中の強い眠気が続く場合は、医療機関に相談してください。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

ニドラーとは何ですか?

睡眠を指します。食事、睡眠、節度ある性生活が、生命を支える三本柱とされてきました。

寝すぎもよくないのですか?

そう考えられています。眠りが足りないことだけでなく、眠りすぎることや時間帯のずれも、体を重くし消化を鈍らせるもとになるとされます。量より、夜にまとまって眠れているかが大切にされてきました。

昼寝をしてもよい場合はありますか?

夏の暑い時期、体力が落ちているとき、子どもや高齢の方、長い移動や重い仕事で疲れ切ったときなどは、例外として認められています。その場合も短めにとどめるのが伝統的な工夫です。