アーユルヴェーダの用語・読みものを一語ずつ引けるオンライン辞典
ハーブ・生薬

シャタバリ

Śatāvarī / शतावरी

Definition

女性の養生の文脈で伝統的に用いられてきた、潤いを与えるとされるハーブ。

シャタバリとは

シャタバリ(Śatāvarī)とは、アスパラガス属のつる性植物(学名 *Asparagus racemosus*)の根を用いる、アーユルヴェーダのハーブです。

甘味と冷ます性質を持ち、潤いを与えるラサーヤナとして扱われてきました。

女性の一生に寄り添う養生の文脈で語られることが多い素材です。

名前に込められた二つの読み

シャタは百を意味するサンスクリット語です。

一株の地下に、指のような塊根が房になってたくさんつくことから、百の根を持つものと説明されます。

一方で、百の夫を持つ女性と読む解釈も広く知られています。

どちらの読み方にも、豊かさと生命力をたたえるニュアンスがあります。

甘く、冷たく、重い

シャタバリの性質は、乾きや熱と反対の方向にそろっています。

見る角度シャタバリの場合
ラサ(味)甘味、苦味
グナ(性質)重い、油性
ヴィールヤ(温冷)冷ます
ヴィパーカ(消化後)甘味

甘味と冷ます性質はピッタの熱を鎮め、重さと油性はヴァータの乾きと軽さを落ち着かせるとされます。

カサカサする、ほてる、気持ちが落ち着かない。

そんな状態が重なるときに、シャタバリの名前が挙がってきたのは、この性質の組み合わせから考えると自然なことです。

牛乳とギーが相棒になる理由

シャタバリは、粉末を温めた牛乳で煮出したり、ギーと合わせたりして用いられてきました。

牛乳もギーも、甘く潤す性質を持つ素材です。

似た性質のものと合わせて、働きを体の奥まで届けるという、アヌパーナ(ハーブと一緒にとるもの)の考え方がここに表れています。

シャタバリを主役にしたギーの製剤も古くから知られています。

アシュワガンダとの違い

同じラサーヤナとして並べて語られることが多いのが、アシュワガンダです。

シャタバリアシュワガンダ
温冷冷ます温める
主に向くとされるドーシャピッタとヴァータヴァータとカパ
語られやすい文脈女性の養生、潤い体力、活力

どちらもオージャスを養う方向とされますが、温冷が正反対です。

熱がこもりやすい人と冷えやすい人では、同じラサーヤナでも選ぶ素材が変わる、と考えられてきました。

向かないとされる場面

重く潤す性質は、裏を返せば消化に負担をかけやすい性質でもあります。

アグニ(消化の火)が弱っているときや、カパが多く体が重いとき、未消化物のアーマがたまっているときには控えるべきとされてきました。

妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、自己判断で使わず医師や専門家に相談してください。

本項目は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。

FAQよくある質問

シャタバリは食卓のアスパラガスと同じものですか?

同じアスパラガス属の仲間ですが、別の種です。食べるアスパラガスは若い茎を使うのに対し、シャタバリで使われるのは地下にたくさんつく塊根です。

シャタバリとアシュワガンダはどちらを選べばよいですか?

性質の方向が違います。シャタバリは冷ます側、アシュワガンダは温める側とされます。どちらが合うかは体質や今の状態で変わるため、専門家と相談して決めるのが伝統的なやり方です。

シャタバリは誰にでも向きますか?

重く潤す性質を持つため、消化が弱っているときやカパが多いときには向かない場合があるとされます。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、使う前に医師や専門家に相談してください。